HMI表示窓の位置合わせを、LCDアクティブエリア、積層視差、開口深さ、データム、公差、視野範囲から検証。設計審査10項目と量産承認手順を解説します。

HMI表示窓の位置合わせが合格するのは、承認された全オペレーター視点から LCD の必要な有効表示領域が欠けず、X/Y 変位、回転、積層高さ、印刷、接着剤、ガスケットの量産ばらつきを含めても余裕が残る場合だけです。LCD データシートの視野角は、規定条件での電気光学特性を示す値であり、ベゼルや遮光マスクによる物理的な欠けまでは保証しません。設計放行には、幾何計算と完成スタックでの視野範囲試験の両方が必要です。
更新日: 2026-08-04
HMI表示窓の位置合わせで管理する境界
HMI表示窓の位置合わせでは、表示画素の境界と、それを隠し得るすべての物理端面との関係を管理します。ここでいう「表示窓」は、前面パネル、グラフィックオーバーレイ、カバーレンズに設ける透明開口または印刷マスク開口です。ソフトウェア上のポップアップウィンドウではありません。表示窓一体型HMIアセンブリを検討するときは、ディスプレイ、前面構造、キャリア、筐体の原図を同じ座標系にそろえるところから始めます。
図面上の境界を「画面サイズ」一つにまとめることはできません。viewing area の意味もメーカーごとに異なるため、案件ごとに用語表が必要です。
| 図面要素 | 実務上の定義 | 分けて管理する理由 |
|---|---|---|
LCD/TFT 有効表示領域 (AA) |
画像を生成する画素領域 | 表示窓が保護すべき画像端。Samsung Display も画素領域と配線・接合用の周辺非表示部を分けている |
モジュールまたはフレーム表示領域 (VA) |
モジュール構造が定める開口・可視領域 | AA より広く、モジュール外形より狭い場合がある。供給者の定義確認が必要 |
| 透明開口 / カバーガラス VA | ディスプレイを見せる透明窓 | 四辺、角 R、基準面が物理的な欠けを決める |
| 遮光マスク / 加飾端 | 配線、接着剤、モジュール内部を隠す印刷・コーティング境界 | カバーが透明でも、この端が実際の遮光境界になることが多い |
| センサー AA | タッチセンサーが動作する領域 | LCD の AA と一致するとは限らず、別の位置合わせ条件を持つ |
| モジュール外形と位置決め形状 | ガラス外形、フレーム、穴、ボス、ブラケット、キャリア面 | 量産で測定できるが、画素中心と自動的に一致するわけではない |
| UI セーフエリア | 重要な文字、操作部、警報、アイコンを置く AA 内の保護領域 | 重要情報が光学・物理端に寄り過ぎるのを防ぐ |
| 必要視点範囲 | 承認された眼位置、方向、距離の集合 | LCD カタログ値ではなく、完成システムの要求事項 |
実在する 2 つの図面は、この区別の必要性を示します。Riverdi のエアボンド式 7.0 インチ RVT70HSDNWC00 は、TFT AA を 154.21 × 85.92 mm、カバーガラス VA を 155.01 × 86.72 mm、センサー AA を 156.08 × 88.42 mm と記載しています。各長方形が同心なら、カバーガラス VA が TFT AA より広い公称量は片側 0.40 mm にすぎません。同じ図面には 1.10 mm のカバーガラス、0.20 mm の SCA、0.55 mm のセンサー、0.60 mm の DST、黒色マスク印刷がありますが、エアギャップ高さとマスク面の詳細は、新しい視点範囲を承認できるほど開示されていません。これは Riverdi Rev. 1.0 データシートに限定した例です。
Winstar の 4.3 インチ WF43A3TWAEDNN0 は、TFT 外形 105.50 × 67.20 mm、フレーム VA 98.16 × 56.86 mm、AA 95.04 × 53.856 mm を別々に示し、未指示寸法には ±0.3 mm を適用しています。これらは推奨クリアランスではなく、AA、VA、外形、オフセット、公差が独立入力であることを示す製品固有の値です。
HMI表示窓の位置合わせ余裕を計算する方法
HMI 表示窓の余裕は、必要視点から有効面までの光線追跡と、AA から開口端までの位置公差積み上げを組み合わせて求めます。公称位置が完全に中央でも斜め視点で欠けることがあり、透明開口が広くても量産回転を漏らせば片隅だけが狭くなります。片方の計算で、もう片方の不足を帳消しにはできません。
厚さを足す前に遮光面を特定する
評価する端部の断面を作り、どの物理面の不透明端が光線を遮るかを特定します。
オペレーターの眼 / 外部視線方向
↓
カバーまたは筐体の前面
遮光端より前方にあるカバー材料
遮光マスクまたは開口端 ← 表示窓の基準面
OCA / タッチセンサー / エアギャップ / その他の透明層
LCD 前面偏光板とセル
画素面 / 有効表示面
Infineon の PSOC 4 CAPSENSE Touchpad Design Guide Rev. E は、タッチパネルのベゼルを不透明な周縁部と定義し、一般にカバーレンズ下面、つまり第 2 面へ印刷すると説明しています。第 2 面印刷が開口を形成するなら、マスクから画素までの層厚はその印刷面から数えます。有限距離の眼位置をマスク面へ投影するときは、マスクより前にある層も影響します。第 1 面の筐体ベゼル、深い座ぐり、曲面レンズ、傾斜した積層は、実断面で追跡します。
積層したHMI表示窓の視差を求める
平行な平面層では、外気中の角度と各材料内の角度を Snell の法則で結びます。
n_air × sin(θ_air) = n_i × sin(θ_i)
遮光面から有効面までの横方向移動量は次式です。
P = g_air × tan(θ_air) + Σ[t_i × tan(arcsin((n_air / n_i) × sin(θ_air)))]
g_air はマスクより下側の空気層です。t_i と n_i は、同じマスク・画素間にある各透明層の厚さと屈折率を表します。NIST の屈折率定義に従い、対象波長と条件に対応する承認済み材料値を用います。方位角 φ を持つ複合方向は 3D 光線追跡を行うか、P_x = P cos(φ)、P_y = P sin(φ) として各軸へ分解します。
視距離が短い、または表示が大きい場合、眼から表示中心への 1 本の方向だけでは不十分です。視点範囲の各境界から AA の各辺・各角へ光線を引きます。深い筐体ベゼルと背面印刷マスクのように複数の不透明開口がある場合は、すべての開口面を評価します。支配端は視点によって変わります。
次表は接着層の推奨値ではなく、層厚 1.00 mm 当たりの横移動量を比較する感度計算です。OCA は 3M 817X の代表屈折率 1.4757、波長 532 nm を使用しています。同資料の 8171CL と 8172CL の実厚は 25 µm と 50 µm で、データは仕様保証値ではなく代表値とされています。
| 外気中の法線からの角度 | 空気層: 1.00 mm 当たり | OCA (n = 1.4757): 1.00 mm 当たり |
50 µm OCA の寄与 |
|---|---|---|---|
| 30° | 0.577 mm | 0.360 mm | 0.018 mm |
| 45° | 1.000 mm | 0.546 mm | 0.027 mm |
| 60° | 1.732 mm | 0.725 mm | 0.036 mm |
光学接合は大きな空気層を減らし、屈折経路を変えられます。しかし、カバー、センサー、偏光板、開口壁、X/Y ずれ、回転の影響は残ります。完成アセンブリについて「視差ゼロ」と断定することはできません。
開口深さと位置ずれを加える
透明層が薄くても、垂直な開口壁にはトンネル状の遮蔽が生じます。空気で満たされた壁深さを h とすれば、評価断面での前後端投影は B_wall = h × tan(θ_air) です。面取り、テーパー、R、充填材がある場合は実形状と媒体内の角度を使います。
左、右、上、下の各端 e について、方向別の残余余裕を計算します。
R_e = C_nom,e − (E_reg,e + |P_e| + B_wall,e + I_edge,e)
すべての必要視点と公差条件で R_e ≥ G_e なら合格です。最も余裕の小さい端が設計を支配します。
| 項 | 意味 | 必要な証拠 |
|---|---|---|
C_nom,e |
AA 端から透明開口端までの公称延長 | 基本寸法を共有座標で示す図面 |
E_reg,e |
AA・モジュール、位置決め、印刷・加工、組立変位、部品寸法、回転を含む位置合わせ結果 | 最悪値、RSS、Monte Carlo、工程能力のいずれかを明記し、角の座標変換を含める |
P_e |
評価端へ向かう積層内の光線移動 | 承認厚さ、屈折率、マスク面、視線方向 |
B_wall,e |
ベゼルまたは開口壁深さの物理投影 | 断面、面取り、R、媒体内の光線角度 |
I_edge,e |
接着剤、ガスケット、フォーム、インク、異物状特徴の許容侵入 | キープアウト図面と工程・検査限界 |
G_e |
計算境界の外側に残す案件固有ガードバンド | UI リスク、測定分解能、合否責任者 |
同じ変動を二重に加えてはいけません。完成品の工程能力値に印刷・配置ばらつきが含まれるなら、それらを独立項として再加算しません。反対に、分布、独立性、目標歩留まり、受入計画を示せない RSS は、最悪値評価の代替になりません。回転による角部の損失は 2D 座標変換で確認し、中心点だけの測定で済ませないことが重要です。
NISTIR 6223 は、最悪値、線形 RSS、非線形伝播、数値積分、Monte Carlo を整理しています。HMI に常に一つの手法を使うという意味ではなく、応答形状と統計仮定に合う手法を選ぶための根拠です。
成立可能性も先に確認できます。単純な対称 1D 断面で、最大 AA 幅を A、不要なフレームや内部構造を隠せる最小内幅を V、R = E_reg + max|P| + B_wall + I_edge + G とします。開口幅 W は W ≥ A + 2R と W ≤ V − 2R の両方を満たす必要があり、解が存在する条件は V − A ≥ 4R です。これは規格式ではなく、保守的な案件内導出です。回転、角 R、非同心形状、非対称枠は 2D 包含計算を使います。区間が成立しないときは、印刷公差一つを無理に締めるのではなく、Z ギャップや壁深さ、隠蔽領域、位置決め、視点範囲、積層方式を見直します。
公開一次資料に基づく設計初期値
次の値は、計算表を空欄にしないための出典付き初期入力です。JASPER の工程能力、認証、保証、完成品試験値、HMI 全般の推奨値ではありません。案件へ採用できるのは、対象部品、視点範囲、使用環境、合否基準との整合を設計責任者が確認した場合に限ります。
| ID | 初期計算に使える条件付き値 | 一次資料の根拠 | 案件へ採用する条件 |
|---|---|---|---|
| P1 | 完成 AA・マスク位置合わせの概念配分を X/Y 各軸 ±0.20 mm とする |
Newhaven NHD-7.0-800480AF-LSXP のベゼル開口 156.7 ± 0.2 mm。Riverdi と Winstar の未指示寸法例は ±0.3 mm |
完成品の測定能力、データム、サンプル数、計算法で確認する。部品開口公差は組立能力を証明しない |
| P2 | AA より片側 0.50 mm 広い公称開口から検討を始め、必要なら拡大する |
TOPWAY LMT070DNCFWD-6 の当該モデル指示 |
選定 LCD、実マスク面、視点範囲、隠蔽境界、公差計算に限定して判断する |
| P3 | 予備光線追跡にカバーガラス 1.0 mm、n = 1.50(590 nm) を使う |
Corning の大判 Gorilla Glass 資料は 0.55, 0.70, 1.0, 1.5, 2.0 mm と n = 1.50(590 nm) を記載 |
承認カバー品番、厚さ公差、印刷面、波長条件に合わせる |
| P4 | OCA 50 µm、n = 1.4757(532 nm)、LCD ガラス上 haze 0.3% を材料入力とする |
3M 8172CL の条件付き代表値 |
採用接着剤、ボンドライン公差、基材、完成スタック光学結果に限定する。haze を完成品性能にしない |
| P5 | 25 ± 2°C、60 ± 10% RH、300–700 lux、35 ± 5 cm、4 方向 ±45° で外観確認する |
Riverdi RVT70HSDNWC00 の検査条件 |
実タスク、眼位置、照明、温度、表示状態、治具、合否基準に適合する場合のみ使用 |
| P6 | 湿熱スクリーニング +50°C、90% RH、96 h(96時間) |
Newhaven NHD-7.0-800480AF-LSXP |
OEM 使用環境、IEC 手法、サンプル数、通電状態、前後の位置合わせ限界を定める |
| P7 | 熱衝撃 −20°C・60 min(60分)→ +70°C・60 min(60分)、20 cycles(20サイクル) |
同 Newhaven 品質表 | 対象製品の厳しさと受入計画に合わせる。フィールド寿命の主張には使わない |
| P8 | 振動 10–50 Hz、5 G、X/Y/Z 各軸 30 min(30分) |
同 Newhaven 品質表 | 設置スペクトル、固定方法、通電状態、軸、試験後の視野範囲限界を定める |
| P9 | ESD: 気中 ±8 kV、接触 ±4 kV、各 5 回 |
同 Newhaven 品質表 | 適用規格、放電点、極性順序、動作モード、機能合否基準を定める |
異なる部品資料の P1-P9 を組み合わせても、完成 HMI の認証や JASPER の能力を証明したことにはなりません。

HMI視野角設計を確認する10項目
HMI 視野角設計は、オペレーター位置を図面管理、工程限界、完成スタックの証拠へ変換する作業です。前半で定義と使用幾何を固め、後半で構造と検証を決めます。依存関係の強い順に確認します。
| # | 審査項目 | 良い状態 | 放行を止める状態 |
|---|---|---|---|
| 1 | 図面要素 | AA、VA、透明開口、マスク端、センサー AA、外形、UI セーフエリアを別々に表示 | 「画面」とだけ書いた長方形で供給者用語を確認していない |
| 2 | 必要視点範囲 | 眼位置の X/Y/Z、距離、方位、仰俯角、作業、周囲条件がある | 「広視野角」というカタログ語だけ |
| 3 | 遮光面 | 光を切る印刷、コーティング、壁、ベゼル面を断面で示す | 遮光面を特定せずカバー全厚を加算または無視 |
| 4 | データムと位置合わせ連鎖 | AA からモジュール位置決め、キャリア、前面開口まで測定可能に接続 | LCD 外形または画面画像だけを中央合わせ |
| 5 | 平行移動と回転 | X/Y、部品寸法、クリアランス、印刷・加工、配置、硬化移動、角部回転を扱う | 公称中心または中心点測定だけ |
| 6 | 光学層と開口壁 | 全必要方向で層別光線追跡と開口断面を確認 | 異種層の合計厚さに空気角を一度掛ける、または壁深さを無視 |
| 7 | エアギャップと接合 | 光学、タッチノイズ、応力、保守、修理、工程を記録 | 「光学接合が常に優れる」という選定 |
| 8 | 端部侵入と Z 管理 | インク、接着剤、ガスケット、フォーム、反り、圧縮にキープアウトと検査限界がある | 柔軟材を公称厚さ・侵入ゼロで扱う |
| 9 | 測定条件 | パターン、輝度状態、照明、距離、角度、温度、サンプル状態、合否を固定 | 裸 LCD の視野角を完成品仕様へ転記 |
| 10 | サンプル承認と変更管理 | 境界サンプル、報告書、資料改訂、再検証条件を承認 | 公称サンプルだけ、または LCD・接着剤変更を再審査しない |
1-3:座標系と視点系を正しく定義する
原図に座標用語表を設けます。Microchip maXTouch Sensor Design Guide の Figure 2-9 は、表示 AA 端、センサー AA 端、レンズ加飾印刷端、配線・加飾公差、表示・加飾公差を別々に示しています。万能な HMI クリアランスを示す図ではなく、制御境界が別物であることを確認する資料です。
眼位置は製品座標系の 3D 範囲で定義します。壁面操作盤、着座した車載表示、手持ち保守端末では、眼の高さ、横位置、距離が違います。各境界点を開口面での視線方向へ変換し、範囲全体を確認します。複数の利用者が同時に見る場合は、眼位置範囲と作業を分けます。主操作者の警報確認と、保守時の斜め見では判定基準が異なる場合があります。
第 2 面印刷の黒枠、成形筐体の開口壁、金属ベゼルは、正面図の XY 開口が同じでも光路が異なります。正面図だけでなく断面を審査します。
4-6:量産可能な表示窓位置合わせにする
表示窓の位置合わせには、目で判断する画素境界と、量産で部品を置く物理データムの両方が必要です。AA と LCD 外形またはロケーター、ロケーターとキャリア、キャリアとパネルデータム、マスクまたは切抜き開口を、完成品の共通座標へつなぎます。
ISO 5459:2024はデータムとデータム系の用語・方法を規定します。ISO 1101:2017とASME Y14.5-2018 (R2024)は、幾何公差の異なる体系です。組織が採用する一つの体系を一貫して使います。これらの規格が特定の HMI 位置決め方式を指定するわけではなく、機能接触と検査性から決めます。
画素 AA は組立時の位置決めには使えなくても、カメラで測定できる場合があります。その場合、硬い形状で組み立て、完成品画像測定で画素までの連鎖を閉じます。治具で管理する関係、供給者図面に依存する関係、完成品でのみ検証できる関係を分けて記録します。一般的な機械公差の方法は、関連するHMIパネルの公差積み上げとデータム設計に分担します。
7-8:一つの積層方式を万能扱いしない
エアギャップを減らす、または光学接合を使うと、マスク・画素間の光線移動を抑え、空気界面を一つ減らせます。ただし光学接合が常に標準解とは限りません。Infineon Rev. E は、静電容量式タッチ設計によっては LCD ノイズ結合を抑えるため、一定の小さなエアギャップを残す場合があると説明しています。分離構造は LCD 交換にも有利です。一方、視点範囲、周囲光学、衝撃構造、Z 高さで必要なら、材料、応力、工程、保守性を確認したうえで光学接合を選びます。
タッチ構造が電気的分離を必要とする場合、LCD 単体交換が必要な場合、カバーと LCD が接合・硬化応力に耐えない場合、量産・手直し工程を確立できない場合は、光学接合を強制しません。逆に、端部余裕が成立しない、または斜め視認性を満たせないなら、大きな空気層を残す設計も適切ではありません。
PCAP では、表示窓付き静電容量式タッチパネルと開口を協調させます。エアギャップ、周辺接着、全面接着の詳しい選定は、関連する静電容量式タッチ表示窓の光学スタックの範囲です。本記事では、位置合わせと視野範囲への入力として扱います。
インク、フォーム、ガスケット、接着剤は注記だけの存在ではありません。ガスケット圧縮で LCD が Z または XY に移動し、印刷端は版、治具、基材安定性、硬化で変動します。周辺テープはクランプ荷重が確立する前に動くことがあります。許容内側侵入量と最小・最大 Z を図面へ入れ、組立後の実端を検査します。
9-10:裸のLCDではなく完成HMIの視野範囲を承認する
Riverdi の例は、LCD 中央を conoscope で測定し、コントラスト比 CR > 10 となる代表視野角を 85° としています。外観検査は別に 35 ± 5 cm、300–700 lux、4 方向 ±45° を使います。Winstar の例も CR ≥ 10、温度、距離、測定器を条件にします。いずれも正当な製品条件ですが、相互に置換できる完成 HMI 合否基準ではありません。
IEC 61747-30-1:2012の透過型 LCD モジュール測定範囲は、タッチパネルまたはフロントライトを組み合わせたモジュールを除外し、それらを外して測定します。裸モジュール値は LCD 選定には使えますが、カバー、開口、接合、センサー、周囲条件、物理的な欠けを含む完成品を認定しません。
ISO 9241-303:2011は画像品質要求の枠組み、ISO 9241-306:2018は使用状況におけるフィールド評価の範囲として参照できます。実際の作業、環境、視点範囲、サンプル計画、合否基準は OEM が決めます。LCD、カバー、マスク版、接着剤、ガスケット、ロケーター、筐体、UI セーフエリアが変わるときは再審査します。
図面入力から量産放行までの6ステップ
量産放行は、幾何、構造、検査の順に閉じます。公称部品だけで作った見栄えの良い試作機を、位置合わせ仕様の代わりにしてはいけません。
ステップ1:原図と使用条件を集める
表示対角やスクリーンショットではなく、LCD のネイティブ機械図面とデータシートを入手します。カバーまたはオーバーレイ版下、マスク端、タッチ図面、キャリア・筐体 CAD、接着剤・ガスケット仕様、UI セーフエリア画像、向き、保守境界を追加します。必要な全眼位置、距離、作業、周囲照度、温度を記録し、不明値を「代表値」で埋めません。
ステップ2:要素、単位、データム、改訂をそろえる
AA、LCD 外形、ロケーター、センサー AA、マスク開口、筐体開口、重要 UI を一つの座標表へ載せます。供給者原点、90° 回転、正面図と背面図、mm と pixel の違いを解消し、断面で物理マスク面を特定します。すべての出典に品番、改訂、日付を付けます。
ステップ3:各辺と各角を計算する
最大 AA と最小開口をデータム連鎖で変換し、宣言した最悪値または統計手法を適用します。角部の回転、各境界視点の積層光路、壁投影、端部侵入を含めます。左、右、上、下の残余余裕と、各辺を支配する視点・公差要因を別々に報告します。隠蔽と非欠けの成立区間が閉じたら、サンプル金型の前に構造を変えます。
ステップ4:構造を選び境界サンプルを作る
ステップ3で必要 Z と端部条件が分かってから、エアギャップ、周辺接着、光学接合を選びます。実マスク、カバー、LCD、センサー、接着剤またはガスケット、ロケーター、クランプ荷重、筐体を使います。X/Y ずれ、正負回転、最小・最大 Z、開口・AA 寸法限界、最大内側侵入を組み合わせた境界サンプルを作ります。
ステップ5:完成HMIを検証する
端部バー、角マーカー、細字、対象色、低コントラスト状態、重要 UI を表示します。承認した照明・温度で全眼位置から確認し、物理的な欠け、枠の左右差、色・コントラスト低下、反射、接着剤・ガスケット侵入、タッチ座標を記録します。必要な環境・機械負荷後にも再確認します。写真だけでなく、サンプルと条件を識別できる幾何・測定記録を残します。
ステップ6:図面、サンプル記録、変更境界を放行する
共通座標図、公差計算、マスクと積層断面、BOM 改訂、組立作業指示、検査治具または眼位置定義、合否基準、署名済みサンプル報告を量産パッケージに含めます。LCD、カバー、マスク版、タッチセンサー、接着剤、ガスケット、ロケーター、筐体壁、組立順、UI セーフエリアを変更管理対象にします。外形が同じでも AA またはマスク端は動きます。
故障連鎖と視野範囲の検証マトリクス
入力誤り、物理メカニズム、見える症状、検証をつなぐと、位置合わせ不良の原因を切り分けやすくなります。版下を一度ずらして公称サンプルだけ直しても、データムや Z スタックの根本原因は残ります。
| 入力または工程の誤り | 物理メカニズム | 観察される症状 | 予防または検証 |
|---|---|---|---|
| AA と VA を同じ境界として扱う | 間違った長方形に窓を合わせる | 画素欠け、または不要フレームの露出 | 供給者の AA、VA、外形、オフセットを共通座標で比較 |
| LCD 外形だけに窓を中央合わせ | AA・外形オフセットが完成品へ入る | 外形組付けは合格でも枠幅が不均等 | AA・データム連鎖を維持し、完成品の AA・マスク位置を測定 |
| 回転を省く | 回転中心から遠いほど誤差が増える | 一方の角が欠け、対角側は開き過ぎる | AA と開口の 4 角を正負回転限界で変換 |
| マスク面を誤認 | 光線追跡へ誤った厚さを入れる | 計算視差と実サンプルが一致しない | 断面で不透明端の実表面を特定 |
| エアギャップまたは壁深さを省く | 斜め光線が残余余裕を越える | 正面では完全、片側斜視で欠ける | 全視点境界を追跡し壁投影を含める |
| 接着剤、ガスケット、インク侵入を省く | 柔軟材・印刷が透明域へ入る | 局所暗線、くさび状欠け、ロット差 | 内側侵入限界を放行し、硬化・圧縮後に検査 |
| 裸 LCD 視野角を HMI 要求にする | 電気光学基準と物理欠けを混同 | コントラストは残るがベゼルが内容を隠す | 完成スタックで確認し、LCD 値は部品証拠に限定 |
| LCD またはマスク変更を再検証しない | AA オフセット、視野角、印刷端、厚さが変わる | 過去の余裕が消える | 図面差分、公差計算、境界サンプルを再審査 |
検証マトリクス
計画はHMIアセンブリの試験と品質管理へ接続できますが、能力紹介ページは試験証拠そのものではありません。署名済み報告書には、構造、サンプル改訂、条件、測定器または治具、結果、合否基準を記載します。
| 審査ゲート | サンプルと条件 | 方法 / 証拠 | 案件の合否判断 |
|---|---|---|---|
| 寸法位置合わせ | 最小開口、最大 AA、X/Y・回転境界、圧縮後スタック | 放行データムから画像測定または座標測定。四辺・角の残余 | すべての R_e がガードバンド以上で、未管理データムや二重計上がない |
| 正面外観 | 公称眼位置、完成スタック、動作画像状態 | 枠対称性、端部パターン、UI セーフエリア記録 | 禁止された欠け・内部露出がなく、非対称が規定内 |
| 視点範囲の端 | 全 X/Y/Z 眼位置境界、最短・最長距離 | 固定治具または測量眼座標、端・角パターン | 必要内容が全承認位置で見え、読める |
| 光学性能 | 規定照明、温度、駆動、カバー状態、画像 | 完成スタックの輝度、コントラスト、色、または作業別目視法 | 案件限界を満たし、部品視野角で代用していない |
| タッチ動作 | 必要な指、手袋、水分、接地状態を含む | 座標ターゲット、端部精度、ノイズ/SNR、誤入力 | タッチ位置と表示ターゲットが製品仕様内で一致 |
| 端部侵入工程 | 最大印刷広がり、接着流動、圧縮、反り | 硬化・クランプ後の断面、写真、画像測定 | 材料がキープアウトを越えず、Z が放行範囲内 |
| 環境前後差 | 実使用プロファイルから選ぶ前後条件 | 位置、光学、タッチ、気泡・剥離、視野範囲の再測定 | 寸法、光学、外観、機能の案件限界内 |
| 変更認定 | 代替 LCD、版下、カバー、接着剤、ガスケット、ロケーター | 赤線図、更新計算、代表境界サンプル | 影響要求が再合格した場合だけ放行 |
IEC 60068-2-14:2023は温度変化試験、IEC 60068-2-78:2025は結露を伴わない一定温湿度の定常湿熱試験を扱います。これらは方法であり、HMI の厳しさ、サンプル数、通電状態、寿命、合否限界を自動的に決めません。同様に、ASTM D1003-21は本質的に透明な平板プラスチックの haze と全光線透過率を測る方法です。接着剤やフィルム単体の値で完成視野範囲を認定しません。
測定不確かさも合否へ結び付けます。残余が規格境界に近い場合、不確かさを受入判断へどう反映するかを決めます。「写真では問題なさそう」という判断では、視点、尺度、測定法を管理しない限り、サブミリメートルの端部余裕を判定できません。
HMI表示窓の図面・サンプル承認チェックリスト
有効画像、開口、積層、位置決め連鎖、視点範囲を再構成できる資料がそろえば、HMI 表示窓レビューを開始できます。
ディスプレイとUI
- [ ] LCD メーカー、正確な品番、データシート改訂、ネイティブ機械図面
- [ ] AA 幅・高さ、角形状、モジュールデータムからの X/Y 位置、位置公差または検査証拠
- [ ] モジュール外形、フレーム・VA 定義、偏光板限界、FPC 経路、クランプ・接触許容域
- [ ] UI 解像度、向き、端部の重要コンテンツ、明示した UI セーフエリア
- [ ] 視野角判定、輝度状態、駆動、温度、測定法を含む LCD 光学条件
表示窓、マスク、積層
- [ ] 透明開口端、角 R、マスク面、印刷公差、改訂を持つカバー / オーバーレイ CAD と版下
- [ ] 前面から有効面までの層順、最小・最大厚さ、反り、圧縮、必要な屈折率
- [ ] エアギャップまたは接合方式、接着剤・ガスケット・フォーム品番、端部キープアウト、許容侵入、保守境界
- [ ] 壁深さ、抜き勾配、面取り、R、位置決め形状を示す筐体またはベゼル断面
- [ ] タッチセンサー AA、加飾・配線キープアウト、コントローラー・接地条件、最終チューニング状態
材料、色調、haze、ハードコートの選定は、関連するグラフィックオーバーレイ表示窓の設計で扱います。本計算には、承認済みの光学値と寸法値だけを戻します。
使用条件と合否
- [ ] 製品姿勢と、必要な各オペレーター・保守位置の有限眼位置範囲
- [ ] 最短・最長視距離、方位角、仰俯角、斜め横断視の要否
- [ ] 重要作業、照明、温度、清掃状態、振動・移動状態、手袋・水分条件
- [ ] 物理欠け、内部露出、枠非対称、画像品質、タッチ位置、外観欠陥の合否基準
- [ ] 公差手法、統計手法なら目標歩留まり、測定不確かさ規則、サンプル数、承認責任者
承認・変更管理記録
- [ ] 仮定と各視点の最大寄与要因を示す四辺・角計算
- [ ] 平行移動、回転、Z、開口・AA 寸法、端部侵入を含む境界サンプル表
- [ ] サンプル識別、治具、画像・データ、逸脱、処置を含む完成スタック試験報告
- [ ] 承認済み版下、原図、BOM、作業指示、検査計画
- [ ] LCD、カバー、マスク、タッチ、接着剤、ガスケット、ロケーター、筐体、工程、UI の再検証条件
最初に共有すべき最小セットは、LCD の有効表示領域図面と必要視点範囲です。この 2 点がなければ、組付け外観は確認できても、視差や非欠け余裕は閉じられません。
放行を止めるレッドフラッグ
公称試作機が中央に見えても、次のいずれかがあれば位置合わせ承認を止めます。
- AA 位置が管理されていない。 LCD 図面に外形はあるが、AA オフセット、公差、完成品測定経路がない。
- 開口端の物理定義がない。 版下に窓はあるが、不透明印刷面またはベゼル面を断面で特定していない。
- カタログ視野角を視点範囲にしている。 眼位置、作業、周囲条件、物理欠けの確認がない。
- 回転を公差モデルから外している。 X/Y 中心ずれだけを見て、角の露出幅を確認していない。
- 別モジュールのクリアランスを流用している。
0.5 mmなど単一製品の指示が現在の幾何計算を置き換えている。 - 柔軟材の限界がない。 ガスケット圧縮、接着剤流動、フォーム回復、印刷侵入が透明域を消費し得る。
- 光学接合で全問題が解決するとしている。 X/Y、カバー・センサー厚、壁深さ、保守、応力、タッチ動作が未確認。
- 変更管理が外形寸法だけで終わる。 代替 LCD、カバー、版下、接着剤が AA 位置、光路、可視端を変え得る。
表示アクティブエリアと視点範囲を共有する
使用可能な HMI 視野範囲は、すべての物理開口を通る幾何学的な見通し範囲と、対象作業・環境で LCD が光学性能を保つ範囲との交差です。両方が合格しなければなりません。筐体や印刷版を固定する前に、LCD 原図、マスク・開口版下と断面、積層寸法、位置決め、UI セーフエリア、有限の眼位置範囲をそろえます。
技術参考資料
企業技術資料は出典名をプレーンテキストで示し、監査 URL は source-ledger.md に収録しています。
- Samsung Display, Active Area
- Riverdi,
RVT70HSDNWC00Data Sheet Rev. 1.0 - Winstar Display,
WF43A3TWAEDNN0Data Sheet - Newhaven Display,
NHD-7.0-800480AF-LSXPProduct Specification Rev. 1A - TOPWAY Display,
LMT070DNCFWD-6User Manual - Corning, Gorilla Glass for Large Format Applications
- 3M, Optically Clear Adhesive 817X Series Technical Data
- Infineon,
PSOC 4 CAPSENSE Touchpad Design GuideRev. E - Microchip,
maXTouch Sensor Design GuideAN3908 Rev. A - NIST, Refractive Index
- NISTIR 6223, Design for Tolerance of Electro-Mechanical Assemblies
- ISO 5459:2024
- ISO 1101:2017
- ISO 9241-303:2011
- ISO 9241-306:2018
- IEC 61747-30-1:2012
- IEC 60068-2-14:2023
- IEC 60068-2-78:2025
- ASTM D1003-21
- ASME Y14.5-2018 (R2024)
よくある質問
HMI表示窓の位置合わせとは何ですか?
HMI表示窓の位置合わせとは、完成した前面パネルで、LCDの有効表示領域と物理的な透明開口または遮光マスクとの関係を管理することです。仕様には、公称中心、四辺の余裕、回転、積層高さ、斜め光線の移動、端部侵入、必要なオペレーター視点範囲を含めます。
HMI表示窓の視差はどのように計算しますか?
HMI表示窓の視差は、遮光マスク面から有効面まで、間にある各層を通る視線を追跡して計算します。Snellの法則で各材料内の角度を求め、層厚とその角度の正接を掛け、横方向移動量を合計します。空気層は `g × tan(θ_air)` として加えます。
表示窓はLCDの有効表示領域より何mm大きくすべきですか?
すべてのHMIに共通するクリアランスはありません。各辺の公称延長には、位置合わせばらつき、斜め光線移動、開口壁投影、接着剤やガスケットの許容侵入、案件固有のガードバンドを含めます。同時に、全承認視点でフレーム、配線、接着剤などを隠せる大きさに抑える必要があります。
LCDの視野角と完成HMIの視野範囲は同じですか?
同じではありません。LCDの視野角は、コントラスト比などの判定基準、測定位置、規定条件に結び付いた部品の電気光学結果です。完成HMIの視野範囲には、実際のカバー、タッチ層、空気層または接合層、マスク、ベゼル深さ、周囲条件、UI作業、必要眼位置からの物理的な欠けも含まれます。
光学接合を使えばHMI表示窓の視差はなくなりますか?
なくなりません。光学接合は大きな空気層を減らし、屈折経路を変えられますが、カバーやセンサーの厚さ、開口壁投影、X/Yずれ、回転、端部侵入は残ります。タッチノイズの分離、保守、応力、工程認定の条件によっては、管理されたエアギャップの方が適切です。
表示窓の位置合わせはどのデータムで管理すべきですか?
有効表示領域の位置から、LCDの位置決め形状、キャリアまたはブラケット、前面パネル、マスク開口までを結ぶ、測定可能な機能データム連鎖を使います。見た目の基準は画素ですが、部品の組立は通常、物理形状で位置決めします。量産データムと可視AAの関係を閉じるため、完成品の画像測定が必要な場合があります。
HMI表示窓の回転ずれはどう確認しますか?
中心だけを測らず、AAと開口の全四隅を正負の角度限界で座標変換して確認します。回転誤差は回転中心から遠いほど大きくなるため、斜め視点から見た角部が支配条件になりやすいからです。サンプル表には時計回りと反時計回りの境界組立を含めます。
OEMはHMI表示窓レビューに何を提出すべきですか?
LCDの品番と原図、AA寸法とオフセット、カバーまたはオーバーレイ版下、開口とマスク面、全積層、位置決めと筐体断面、接着剤またはガスケット限界、タッチ図面、UIセーフエリア、必要眼位置、環境、公差手法、合否基準を提出します。最小の開始資料は、有効表示領域と視点範囲です。
図面と要求仕様の技術レビュー
図面、使用環境、年間数量をお送りください。製造前に構造と検証条件を確認します。