ラバーキーパッドのカーボン接点を、抵抗、形状、固定、摩耗、PCBパターン、汚染、工程管理、試作評価で比較。導電チップと導電印刷の選定条件を整理します。

一般的な円形・楕円形キーを高頻度で操作する用途では、導電チップ(カーボンピル)が低リスクの出発点になる。厚みのある導電体を所定位置に成形でき、工程条件にも比較的余裕があるからだ。一方、LED 開口部を囲む環状接点、異形、広い接点、薄型構造には導電印刷が適する。ただし、ラバーキーパッドのカーボン接点は方式名だけでは選べない。接圧、PCB 表面処理、櫛形パターン、汚染、測定方法を揃え、キーパッドと PCB の完成状態で比較する。
更新日: 2026年8月4日
1. ラバーキーパッドのカーボン接点はどちらを選ぶべきか
金型内で確実に位置決めできる円形または楕円形の接点なら、まず導電チップを検討する。導電印刷は形状制約を解く手段であり、照光部の周囲を囲むリングや、標準チップを置きにくい輪郭に向く。電気特性は一律ではない。Shin-Etsu Polymer Europe は、同社の金めっき PCB 治具で測定した DCP 導電印刷と C40P 導電チップの双方に、接触抵抗の代表値 20 Ω、上限 <200 Ω を示している [1]。
| 選定項目 | 導電チップが有利になりやすい | 導電印刷が有利になりやすい | 承認時の確認 |
|---|---|---|---|
| 一般的な円形接点 | ✓ | チップ位置と PCB への重なり | |
| 環状・異形接点 | ✓ | 最小印刷幅と位置精度 | |
| 薄い堆積接点 | ✓ | 圧縮量と摩耗余裕 | |
| 標準カーボンでの抵抗余裕 | ✓ | 同一 PCB クーポンで比較 | |
| 高頻度操作 | ✓ | 寿命試験の荷重、終点、環境を統一 | |
| 成形後の電気工程を減らす | ✓ | チップ配置は引き続き重要管理点 | |
| 狭い形状でインサート配置を避ける | ✓ | 前処理、膜厚、硬化、付着を管理 | |
| 粉じん・残渣が入りやすい筐体 | どちらも密閉設計と実機評価が必要 |
通常の産業用キーでは導電チップから試作し、完成スイッチの特性を確認する。インクの物性値だけを理由に印刷へ移行せず、図面上で環状、異形、薄型などの明確な利点がある場合に選ぶ。
2. 導電チップと導電印刷接点の構造
**導電チップ(カーボンピル)**は、カーボンを配合したエラストマーの成形片である。シリコーンキーの裏面に配置し、キーパッド成形時に保持または一体成形する。キーを押すとチップが PCB 上の 2 系統の導体を短絡する。Epec の製造資料には、キーパッド成形前に導電チップを金型へ配置する工程が示されている [2]。
導電印刷接点は、成形済みキーパッドの裏面へ、シリコーンに適合するカーボンインクを印刷・硬化した接点である。Silicone Dynamics は、通常の導電チップを取り付けにくい形状で使う方式として説明している [3]。ここでいう導電印刷はゴム側の接点を指し、PCB の銅配線上にカーボンを印刷する表面処理とは別の設計項目である。
接点はスイッチ積層の一部にすぎない。各界面が結果を変える。
指
↓ 操作荷重
[ キートップ / シリコーンウェブ ] ← ストローク、クリック感、復帰力、オーバートラベル
[ 導電接点 ] ← チップ径・厚さ、または印刷面積・膜厚
↓ 圧縮
[ 櫛形 PCB 接点 ] ← 重なり、線幅・間隔、表面処理、清浄度
[ 検出回路 ] ← プルアップ/プルダウン、デバウンス、しきい値、試験電流
このため、導電性ラバーキーパッドを「カーボン接点、100 Ω」だけで指定することはできない。直径 4 mm の接点がずれる、設計した圧縮量に達する前にウェブが底付きする、PCB に残渣がある、といった要因の方がカーボン材料の体積抵抗率より支配的になる場合がある。
接点位置は PCB を位置決めする基準と同じデータムから寸法を入れる。キーパッド、筐体、PCB を別々の基準で管理すると、累積公差が接点の重なり余裕を使い切る。無荷重時のすき間と使用可能なオーバートラベルも図面化する。接点が櫛形パターンに触れるだけでは導通しても、所定荷重で安定する抵抗領域に達しないことがある。
Shin-Etsu Polymer Europe の例では、DCP 印刷層は各種形状、寸法 2.5~6.0 mm、厚さ 0.03 mm 超である。C40P チップは円形、直径 2.5~5.0 mm、厚さ 0.55 mm とされる [1]。これは同社製品の範囲であり業界限界ではないが、印刷は形状自由度、チップは厚い独立接点という違いを示している。

3. 接触抵抗は方式名ではなく測定対象と条件で比較する
接点資料に現れる 3 種類の抵抗値は互換ではない。
| 量 | 一般的な単位 | 測定対象 | 適した用途 |
|---|---|---|---|
| 体積抵抗率 | Ω·cm、Ω·m |
規定形状の材料内部 | 材料配合の比較 |
| シート抵抗 | Ω/□、厚さ換算値を伴う場合あり |
印刷膜の面方向 | インク配合と膜形成の工程管理 |
| スイッチ閉路時の接触抵抗 | Ω |
接点、PCB 櫛形パターン、各界面を含む経路 | キーパッドと PCB の組立承認 |
ASTM D991-89(2026) は、導電性・帯電防止ゴムの体積抵抗率を対象とする [4]。この値だけで完成スイッチの接触抵抗は予測できない。Creative Materials のシリコーン系カーボンインク 126-03(SP)C は、体積抵抗率 ≤0.65 Ω·cm、シート抵抗 ≤250 Ω/□/mil とされる [5]。これは材料と膜の値であり、特定の PCB 上でキーを押したときの閉路抵抗ではない。
閉路抵抗には治具と動作点が要る。IEC 60512-2-1:2002 はミリボルトレベルでの接触抵抗測定、IEC 60512-2-2:2003 は規定試験電流での測定を扱う [6][7]。いずれもコネクタ接点の試験方法を設計する際の参考であり、ラバーキーパッドが IEC 認証品になるわけではない。治具、操作荷重、電流または電圧、保持時間、合否限界は案件ごとに定める。
公開値を読むときは条件を離さない
| 情報源・方式 | 公開接触抵抗 | 併記条件 | 読み取れる範囲 |
|---|---|---|---|
| Shin-Etsu DCP 導電印刷 | 代表 20 Ω、<200 Ω |
金めっき PCB、ピッチ 1.0 mm、線幅 0.5 mm、同社方法 |
この条件では標準チップと同等 [1] |
| Shin-Etsu C40P 標準チップ | 代表 20 Ω、<200 Ω |
同じ金めっき PCB 治具 | 方式名だけで抵抗は決まらない [1] |
| Shin-Etsu Alpha97 低抵抗チップ | 代表 5 Ω、<20 Ω |
同じ同社治具 | 配合グレードの影響が大きい [1] |
| Abatek 標準カーボンチップ | 約 100 Ω |
接圧 1.5 N |
一つの供給者ベンチマーク [8] |
| Abatek 導電印刷 | 約 200 Ω |
接圧 1.5 N |
一つの印刷接点ベンチマーク [8] |
| N&H 印刷/ディップ | 金上 150~300 Ω、カーボン上 <600 Ω |
同社パターンと試験系 | PCB 表面処理で結果が変わる [9] |
| N&H 標準チップ | 金上 <100 Ω、カーボン上 <200 Ω |
同じ資料条件 | 同社条件ではチップの余裕が大きい [9] |
これらを平均して「業界標準抵抗」にしてはいけない。材料、面積、荷重、PCB 表面処理、パターン、判定終点が異なる。調達時に比較できるのは、同じ接圧と同じ量産相当 PCB クーポンで両方式を測定した結果である。
初期試作の比較条件としては、1.5 N で ≤200 Ω を暫定スクリーニング値にできる。これは引用値の範囲内で候補を揃えるための基準であり、JASPER の工程能力値でも最終図面限界でもない。量産図面では、実測分布と回路余裕から限界を確定し、PCB 表面処理、パターン、試験電流または電圧、前処理、サンプル数、受入時・環境試験後・寿命末期のどの時点に適用するかを記載する。
4. 接点形状、固定方法、PCB パターンの公差を閉じる
電気評価より先に形状で方式が決まることがある。円形チップは寸法、位置、外観を管理しやすく、対称な PCB パターンと合わせやすい。導電印刷なら LED 開口部の周囲に環状接点を設けたり、細長いキーを覆ったり、0.55 mm のインサートが積層高さを圧迫する場所へ薄膜を形成したりできる。
位置ずれの仕方は異なる。導電チップでは金型内のずれ、傾き、突出量、組立公差による重なり不足が起こり得る。導電印刷では端部欠け、ピンホール、膜厚変動、成形品に対する X-Y 位置ずれが管理対象になる。印刷はインサート配置工程をなくす代わりに、堆積膜の工程を増やす。
PCB 接点図は累積公差まで含めて成立させる
許容されるキーパッド、筐体、PCB の位置ずれが同時に最大となっても、導電接点の下に有効 PCB 領域が残らなければならない。N&H は、PCB 接点領域をゴム接点より各方向に少なくとも 0.5 mm 広げる案と、線幅 0.3 mm/間隔 0.3 mm の試験用櫛形パターンを示す [9]。Diamond HMI は別の出発点として、チップ寸法の 1.25 倍 以上のパッド、0.5 mm の櫛歯、0.6 mm の間隔を示す [10]。どちらも国際規格ではない。
| 図面入力 | 導電チップで確認すること | 導電印刷で確認すること |
|---|---|---|
| 接点輪郭 | 標準径・楕円寸法で成立するか | 細い首部やリング幅を再現できるか |
| X-Y 公差 | 最悪位置でも必要な櫛歯を覆うか | 印刷と成形品の位置ずれ後も覆うか |
| 接点高さ | 設計ストローク後にのみ接触するか | 薄膜でも必要な圧縮状態になるか |
| PCB 櫛形 | 並列の短絡経路を十分に覆うか | 印刷輪郭が 2 系統を確実にまたぐか |
| 表面処理 | 抵抗・摩耗目標と組み合わせ確認済みか | インクと表面処理を実機評価したか |
| 空気抜き | 閉じ込めた空気が操作を妨げないか | 印刷領域やシール面が流路を塞がないか |
高信頼用途のクーポンではニッケル下地金めっきがよく使われるが、万能の処理ではない。選定した表面処理、櫛形パターン、導電接点を組み合わせて評価する。量産基板がカーボン被覆なら、金めっき上で得た抵抗値を流用しない。
5. 摩耗と汚染は故障連鎖で評価する
高頻度操作では、導電チップの方が厚い導電体を持つため、一般には低リスクの出発点になる。N&H の資料では印刷/ディップ方式が 100万~300万回、標準チップが 500万回超 とされ、Diamond HMI は印刷カーボン膜を約 10~20 μm と説明している [9][10]。ただし、荷重、ストローク、環境、抵抗判定値、故障定義が共通ではないため、寿命倍率や保証値にはできない。
導電印刷が必ず短寿命という意味でもない。Shin-Etsu Polymer Europe は DCP と C40P の初期電気値を同等としているが、同ページには両者を同条件で比較した電気寿命データはない [1]。耐久性は量産構造を案件の操作条件で評価する。
カーボングレードを疑う前に原因から追う
| 原因 | 物理変化 | 電気症状 | 確認・管理方法 |
|---|---|---|---|
| チップ/印刷の位置ずれ | PCB 櫛歯との重なり減少 | 高抵抗、荷重依存、断続導通 | X-Y 光学測定と最悪公差の重ね図 |
| 圧縮不足 | パターンの一部だけに接触 | 荷重増加で抵抗が急低下 | 抵抗-荷重曲線と筐体ストッパー確認 |
| 粉じん、繊維、乾燥残渣 | 界面に絶縁膜 | 抵抗増加、チャタリング、開路 | 清浄/汚染クーポン比較、筐体・シール確認 |
| 印刷膜の摩耗 | 膜厚減少、導電経路欠損 | 抵抗上昇、断続導通 | 耐久途中の顕微鏡観察と抵抗測定 |
| 印刷膜の亀裂・剥離 | 導電膜の不連続 | 不安定または開路 | 曲げ・圧縮後の付着外観確認 |
| チップ表面の摩耗・平滑化 | 真実接触面積の変化 | 抵抗ドリフト | 表面観察と寿命末期の抵抗分布 |
| PCB 表面の摩耗・酸化 | 櫛形接点の不安定化 | ドリフト、チャタリング、荷重依存 | 表面処理確認と試験後観察 |
| インク混合・硬化ばらつき | フィラー分布・樹脂網目の変化 | ロット間の抵抗・付着変動 | 混合時間、粘度、膜厚、炉プロファイル、クーポン |
Paul Knupke の Epec 技術資料は、チップと PCB の界面にある非導電性汚染が接触抵抗の上昇、チャタリング増加、開路につながるとしている [11]。両方式ともカーボン面が PCB に触れるため、この機構は共通する。厚いチップは筐体を密閉せず、印刷接点も残渣感度をなくさない。
検出回路にも余裕が必要である。ゼロに近い抵抗だけを ON と判定する回路では、機械的に壊れていない接点も機能不良になる。寿命末期の承認済み抵抗分布より十分高い認識しきい値を設定し、実際のスキャン周期とプルアップ/プルダウン回路でデバウンス動作を確認する。
6. 量産再現性を決める工程管理
導電チップと導電印刷では、リスクを置く工程が異なる。工程数の多少ではなく、重要変数を測定して維持できるかで判断する。
| 管理段階 | 導電チップ | 導電印刷接点 |
|---|---|---|
| 受入材料 | 配合グレード、寸法、抵抗率、ロット識別 | インク品番、使用期限、保管、粘度、フィラー分散 |
| 配置・塗布 | 個数、向き、X-Y 位置、保持 | 表面前処理、治具、版状態、位置合わせ |
| 形状 | 直径、厚さ、平坦度、成形後露出 | 湿膜/乾燥膜厚、輪郭、ピンホール、最小線幅 |
| 熱工程 | 成形・二次加硫が接合部へ与える影響 | 硬化時間、部品温度、風量、炉内負荷 |
| 工程内証拠 | 画像検査、寸法抜取、抵抗クーポン | 粘度記録、膜厚、硬化プロファイル、付着クーポン |
| 最終証拠 | 規定荷重での抵抗分布 | 抵抗分布と膜・付着状態 |
Creative Materials の 126-03(SP)C は供給時粘度 40,000 cP で、沈降したカーボンフィラーの再分散を指示し、良好な特性を得る推奨硬化条件として 150°C、60分 を示す。同時に、実際の基材で最適条件を設定するよう求めている [5]。これは印刷工程に必要な管理の例であり、JASPER で認定済みのインクや硬化条件を示すものではない。
黒く連続して見える印刷膜でも、抵抗または付着目標を外すことがある。正しく成形されて見えるチップでも、PCB との重なりから外れていることがある。外観だけでなく、登録面積、表面状態、圧縮、代表 PCB 上の抵抗を測る。
試作承認後は、キャビティ、キー位置、インクまたはチップのロット、生産ラン別に分布を確認する。単一の限度見本では、ロット間ドリフトや特定キャビティの配置異常を示せない。
7. 接点ゴムの試作承認テスト
材料、工程、完成積層の影響を分けて確認する。材料クーポンは配合またはインクの管理に使い、スイッチ動作はキーパッドと PCB を組み合わせた治具で承認する。
| 段階 | サンプル/条件 | 測定 | 判断目的 |
|---|---|---|---|
| 初期基準 | 複数キャビティ、複数キー位置 | 輪郭、X-Y 位置、チップ厚または乾燥膜厚、外観欠陥 | 配置、印刷、キャビティ偏りを検出 |
| 荷重掃引 | 初回閉路から設計オーバートラベルまで同じキーを測定 | 接触抵抗-荷重、閉路荷重、復帰 | 安定抵抗領域へ到達するか確認 |
| PCB 比較 | 合意した量産表面処理。必要時のみ管理された別クーポン | 同一荷重・電流での抵抗分布とチャタリング | ゴム方式と PCB 条件の影響を分離 |
| 環境処理 | 用途から定義した温湿度・薬品条件 | 回復前後の抵抗、外観、付着 | 吸湿、残渣、膨潤、酸化、剥離感度を検出 |
| 汚染チャレンジ | 用途上必要で再現可能な粉じん・残渣 | 抵抗、チャタリング、指定清掃後の回復 | 清浄度・筐体余裕を確認 |
| 機械耐久 | 代表荷重、ストローク、速度、保持、位置、電気負荷 | 規定時点の抵抗・荷重、表面観察 | 変化量と故障モードを特定 |
| 寿命末期の実機試験 | 劣化後キーパッドを実筐体・回路へ組付け | 認識余裕、デバウンス、固着・開路 | 回路が抵抗分布を受け入れるか確認 |
低擾乱の初期抵抗では IEC 60512-2-1 型のミリボルト法、規定電流を使う回路では IEC 60512-2-2 の考え方が治具設計の参考になる。動的条件での抵抗変動は IEC 60512-2-3:2002 が参考になる [12]。これらはラバーキーパッド専用の一括認定規格ではないため、案件図面に試験方法を記載する。
すべての抵抗結果に記録する条件
- 接点方式、材料/インクのグレード、寸法、ロット
- 追跡可能な場合はキー位置と金型キャビティ
- PCB 材料、表面処理、櫛歯の線幅・間隔、有効面積
- 操作荷重、ストロークまたはオーバートラベル、治具位置、保持時間
- 試験電圧/電流、計測方法、サンプリング周期
- 温度、湿度、前処理、回復時間
- サンプル数、測定時点、合否限界、生データ分布
- 故障定義:抵抗、断続導通、チャタリング、剥離、荷重低下、物理損傷
初期比較は ≤200 Ω、1.5 N で条件を揃え、量産図面には案件で確認した限界と完全な測定条件を記載する。キーパッドの試験・検証では、その承認証拠を案件ごとに定義する。
8. 導電チップか導電印刷かを決めるマトリクス
選定は図面と回路で最も支配的なリスクに合わせる。
| 優先事項 | 最初に評価する方式 | 理由/必要な証拠 |
|---|---|---|
| 高頻度の一般円形キー | 導電チップ | 厚い接点体。抵抗と重なりを実測 |
| 照光開口部の環状接点 | 導電印刷 | リングを形成できる。最小幅、位置、膜均一性を確認 |
| 異形または広い接点 | 導電印刷 | 標準チップを無理に当てない。端部被覆を確認 |
| 標準カーボンで抵抗余裕を確保 | 導電チップ | 供給者資料では低い上限が多い。同一 PCB で比較 |
| 非常に低い、または狭い抵抗分布 | 標準方式を前提にしない | 低抵抗チップ、めっき接点、メタルドーム、個別スイッチを評価 |
| 強い汚染環境 | 接点方式の前に筐体対策 | 清浄度・シールを改善し、完成積層で試験 |
| インク調製・硬化を記録できない | 形状が許せば導電チップ | 未管理の膜厚・硬化では印刷承認が弱い |
| チップ位置を維持できない | 工程管理できるなら導電印刷 | 配置問題を減らす代わりに膜・付着管理が増える |
| シリコーンキーが別スイッチを押すだけ | 非導電アクチュエータ | PCB スイッチまたはメンブレンスイッチを検討 |
標準形状が照光、重なり、実装高さを損なうなら、導電チップは最適ではない。供給者が付着と抵抗の寿命安定性を提示できないなら、導電印刷も最適ではない。
9. 図面と RFQ に入れる確認項目
接点方式を選ぶ前に、図面パッケージまたは技術 RFQ へ次を入れる。
- [ ] 接点方式:標準チップ、低抵抗チップ、シリコーン上の導電印刷
- [ ] 接点輪郭、チップ厚/印刷膜厚、位置、X-Y 公差
- [ ] シリコーングレード、硬度、ウェブ形状、荷重、ストローク、クリック率、オーバートラベル止め
- [ ] PCB 表面処理、櫛形パターン、有効面積、空気抜き、組立データム
- [ ] 閉路抵抗限界と荷重、電流/電圧、保持時間、治具
- [ ] 初期、環境処理後、寿命末期の合否限界
- [ ] 環境暴露、清浄度、筐体・シールの前提
- [ ] 耐久荷重、ストローク、速度、回数、電気負荷、故障定義
- [ ] 印刷管理:表面前処理、インク識別、膜厚、硬化、付着試験
- [ ] チップ管理:グレード、寸法、配置、保持、キャビティ抜取
- [ ] 試作承認で提出する生データとトレーサビリティ
接点だけを後から決めず、シリコーンラバーキーパッドの構造と材料と同時に凍結する。方式選定には、キーパッド断面、PCB 接点アートワーク、回路しきい値、検証条件が必要である。JASPER の技術窓口も実装候補の一つだが、提案は意図した積層で両方式を評価するまで暫定とする。
11. 材料適合性は実部品の証拠に結び付ける
材料宣言は、実際の部品構成、供給者記録、規則の版、適用除外に結び付ける。方式名から認証や適合を推定しない。
| 証拠区分 | 必要な記録 | 表現できる範囲 |
|---|---|---|
| 対象製品に適用する RoHS、REACH その他の材料宣言 | 現行の供給者宣言または試験報告、対象材料・部品番号、規則/版、適用除外、日付、承認者 | 指定材料または部品への適用を記載できる。材料宣言を製品認証へ言い換えない |
技術資料
企業・供給者資料は取得用リンクにせず、名称を純テキストで記載する。URL と確認範囲は source-ledger.md にまとめた。
- Shin-Etsu Polymer Europe, “Contact element for keypads”
- Epec Engineered Technologies, “Rubber Keypad Manufacturing Process”
- Silicone Dynamics, “Carbon Contact Ink”
- ASTM D991-89(2026), “Rubber Property—Volume Resistivity of Electrically Conductive and Antistatic Products”
- Creative Materials, 126-03(SP)C datasheet, 2019-07-15 revision
- IEC 60512-2-1:2002, Test 2a
- IEC 60512-2-2:2003, Test 2b
- Abatek, “Contact Technology”
- N&H Technology, “Silicone Rubber Keypad Design Guide”
- Diamond HMI, “Rubber Keypad Design Guide 2021”
- Paul Knupke, Epec, “High Reliability Keypads: Design Factors That Affect Performance”
- IEC 60512-2-3:2002, Test 2c
- Abatek, “Silicone Keypad / Contact Pills”
よくある質問
ラバーキーパッドの導電チップと導電印刷接点は何が違いますか?
導電チップは、カーボンを配合した成形済みエラストマー片をシリコーンキーに一体化した接点です。導電印刷接点は、成形後のキー裏面に薄いカーボンインク膜を形成します。チップは標準形状と厚い接点体、印刷は環状、異形、広面積、薄型形状に向きます。
導電チップと導電印刷では、どちらの接触抵抗が低いですか?
標準的な構成では導電チップの方が抵抗余裕を得やすいものの、常に低いとは限りません。Shin-Etsu Polymer Europe は同一の金めっき PCB 治具で、DCP 印刷と C40P チップの双方に代表値 20 Ω、上限 <200 Ω を示しています。同じ接圧と PCB で候補を比較してください。
LED やライトガイドの周囲に環状の導電印刷接点を作れますか?
作れます。Abatek は照光領域を囲むリングを含む自由形状の印刷接点を示しています。ただし、図面には最小リング幅、印刷と成形品の位置公差、PCB との重なり、空気抜き、環境処理後も膜が導通・付着を維持することを確認する試験が必要です。
導電チップを大きくすれば必ず接触抵抗は下がりますか?
必ずしも下がりません。接点面積が増えると多くの PCB 櫛歯を覆えますが、材料グレード、平坦度、接圧、櫛形パターン、表面処理、位置、汚染も抵抗を左右します。Abatek の径別値は、面積が一変数であって保証ではないことを示します [13]。
ラバーキーパッドのカーボン接点にはどの PCB 表面処理が適しますか?
ニッケル下地金めっきとカーボン接点面はいずれも供給者資料にありますが、抵抗値は異なります。N&H は金とカーボン PCB で別の値を示しています。量産する表面処理を指定し、選んだ導電チップまたは印刷接点を量産相当の櫛形パターンで評価してください。
キーパッド試作の接触抵抗はどのように測定しますか?
キーパッドを規定 PCB クーポンへ組み合わせ、荷重、ストローク、電流または電圧、環境を定めて測定します。平均だけでなく分布を保存します。IEC 60512-2-1 と IEC 60512-2-2 は測定方法の参考になりますが、治具と合否限界は案件側で定義する必要があります。
導電チップは導電印刷より必ず長寿命ですか?
普遍的な寿命比は示せません。供給者資料では導電チップに長い回数値が示される傾向がありますが、荷重、ストローク、位置、PCB 表面処理、環境、電気負荷、判定終点が一致しません。使用条件を再現し、途中測定と抵抗故障の定義を含む耐久試験で承認します。
導電チップも導電印刷も選ばない方がよいのはどんな場合ですか?
標準カーボンでは回路が必要とする低抵抗または安定性を実証できない場合、汚染を制御できない場合、シリコーンキーが別スイッチを押すだけの場合です。低抵抗チップ、めっき接点、メタルドーム、独立した PCB スイッチを評価します。
図面と要求仕様の技術レビュー
図面、使用環境、年間数量をお送りください。製造前に構造と検証条件を確認します。