静電容量タッチキーパッドと個別スイッチの比較。チャネル、配置、同時押し、フィードバック、完成機器の検証条件から入力構成を選ぶ。

静電容量タッチキーパッドと個別スイッチの比較では、検出原理よりも入力をどこまで一群として扱うかが判断の軸になる。 同じ操作面で複数のキーがグラフィック、コントローラ、フィードバック、ホスト通信を共有するならキーパッドが適する。機能が少なく、離れた場所にあり、個別交換やディスクリート出力が必要なら個別スイッチが扱いやすい。キー数、配置、同時押し、手袋・液体、電源状態、完成機器での検証条件を決めてから構成を選ぶ。
公開英語版の確認日:2026年8月4日
1. 結論:電極の数ではなく、操作のまとまりで選ぶ
静電容量タッチキーパッドは複数のタッチセンサを一つの操作系としてまとめる。個別静電容量タッチスイッチは、一つの二値入力を独立した機能として使う構成である。どちらも自己容量方式または相互容量方式を採用でき、複数の「個別」スイッチが同じコントローラを共有する場合もある。違いはパッケージ、キー割り当て、保守単位、ホストへの伝え方、検証境界にある。
| プロジェクト条件 | 第一候補 | 理由 |
|---|---|---|
| 一つの操作面に6キー以上 | 静電容量タッチキーパッド | グラフィック、チャネル表、フィードバック、コネクタ、ホストメッセージを一体設計できる |
| 装置内の別々の場所に1~3個の操作 | 個別タッチスイッチ | 出力、配線、筐体、交換単位を分離できる |
| 数値入力、メニュー、ロックアウト、キー組み合わせ | キーパッド | シーケンス、隣接判定、デバウンス、タイムアウト、受理後の通知を調整しやすい |
| 電源、ウェイク、吐出、ドアなど一つのローカル指令 | 個別スイッチ | 単/少数チャネルICから簡潔な出力を渡せる |
| スライダ、ホイール、近接ウェイク、ジェスチャを同一面に配置 | キーパッド | 対応コントローラなら意匠、走査、タイミング、フィードバックを共有できる |
| 安全、アクセス、交換モジュールの境界をまたぐ | 個別またはハイブリッド | 配線独立と故障分離を優先できる |
| 目視なしの操作、非常操作、強い衝撃を伴う操作 | 平面型の両案以外も検討 | ガード付きメカニカル、タクタイルメンブレン、圧電、ハイブリッドが適する場合がある |
キーパッドにまとめても、必ず安価、高速、高信頼になるわけではない。コントローラ選定、ファームウェア、意匠、積層、検証が一部品へ集中するため、操作自体が一つのワークフローである場合にだけ統合の価値が出る。
2. 静電容量タッチキーパッドと個別スイッチの定義
MicrochipのAN2934は、静電容量式ボタンをタッチ/非タッチの二値状態として解釈する0次元センサと定義している。キーパッドは複数の二値入力を協調させ、必要に応じてスライダ、ホイール、近接領域を加えたものだ。「ボタン」「キー」「タッチキー」「スイッチ」は市場で重なるため、部品名だけでなく図面に動作を記載する。
一般的な静電容量タッチキーパッドの信号経路は次のとおり。
指/指定手袋
↓
印刷カバーレンズまたはグラフィックオーバーレイ+接着層
↓
ボタン電極/Tx-Rx交点/ガードまたはシールド
↓
タッチコントローラ+チャネル設定+走査スケジュール
↓
キーマップ/ロックアウト/ジェスチャ・スライダ処理
↓
シリアルバス、同期/非同期シリアルなどのホストインターフェース
↓
ホストが指令を受理または拒否
↓
LED、表示、音、ハプティクスで応答
量産品では、共通カバーと意匠に加え、コネクタ、GND方針、LED配線、ホストプロトコル、ファームウェアの責任範囲、起動時動作、故障処理、全キーを検査できる治具が必要になる。
個別静電容量タッチスイッチは経路を短くできる。
指/指定手袋
↓
局所的な非導電カバー+電極
↓
単/少数チャネルコントローラ
↓
ロジック、オープンドレイン、PWM、ローカルシリアル出力
↓
機械入力/ローカルホスト機能
Microchip MTCH1010/1030/1060は1、3、6センサの例であり、Infineon CAPSENSE MBR3ファミリは最大16ボタンを扱う構成例を示す。「個別」は1キーにつき1 ICという意味ではない。出力の意味、コネクタ、設置場所、保守ルールを分けたままシリコンを共有できる。
この積層は静電容量式タッチパネルやHMIアセンブリの一部にもできる。ただし製造上の一体化を、電気アーキテクチャの決定理由にしない。オペレータの操作とホストが必要とする情報を先に定義する。

3. 静電容量タッチキーパッドと個別スイッチの比較表
次の8軸では、どちらかを一律の勝者にしない。コントローラ、オーバーレイ、GND、ケーブル、筐体、表示器、ファームウェア、使用環境で結論が変わる。
| 判断軸 | タッチキーパッド | 個別タッチスイッチ | 決定境界 |
|---|---|---|---|
| 機能のまとまり | キーと任意のウィジェットを一群で制御 | ローカル指令またはモジュールごとに独立 | 同じタスクモデルを共有する操作だけをまとめる |
| チャネル/制御 | 専用チャネル、共有線、Tx/Rxマトリクス。ガード、近接、スライダ、予備も計上 | 各ノードは1~少数チャネル。複数ノードでIC共有も可能 | 印刷キー数ではなく、対応ピン、走査ブロック、出力、インターフェースまで数える |
| 検出方式 | 自己容量は単純化しやすく、相互容量は高密度交点に向く | 孤立した高感度ボタンでは自己容量が使いやすい。相互容量も可 | 感度、ピッチ、同時押し、液体/ノイズ、走査条件で選ぶ |
| 配置 | ピッチ、意匠階層、隣接キー除外、ベゼル、指/手袋条件を共通化 | カバー、場所、電極、ガードを機能ごとに変えられる | 共通面の一貫性か、分散配置への適合か |
| 複数入力 | シーケンス、同時押し、スライダ、ホイール、近接、ジェスチャを統合しやすい | 二値のローカル動作を隔離しやすい | コントローラ選定前に全ウィジェットと同時入力を定義 |
| ホスト統合 | シリアルでキーID、状態、診断、イベントを送信 | PLC/MCUへディスクリート出力しやすい | シリアルはホスト端子を減らすが、起動、タイムアウト、故障状態を増やす |
| 意匠/応答 | LED、表示、凡例、応答ロジックを協調 | 各スイッチに局所表示、または機械側応答 | 閾値通過ではなくホスト受理を何で示すか決める |
| 検証/変更 | 共通積層だが相互作用と回帰範囲が広い | 局所試験は小さいが、カバーやケーブルの種類が増える | 材料、意匠、筐体、GND、設定変更の再試験条件を定義 |
Texas Instruments、Microchip、Infineonの設計資料はいずれも、電極形状、オーバーレイ、配線、GND、コントローラ設定が検出性能を左右するとしている。キーパッドはコネクタやホスト端子を減らせる一方、走査とソフトウェアの範囲が広がる。個別スイッチは一機能を単純化できる一方、装置全体では基板、ケーブル、筐体の派生が増え得る。
電気マトリクスはUIの定義ではない
公開資料にある16ボタン/8 GPIOの自己容量マトリクスは、端子数削減の例であって、16キーHMIすべてに適する証明ではない。自己容量マトリクスは主に1キーずつの操作に向き、対角位置の同時押しが曖昧になる場合がある。相互容量マトリクスなら交点を個別に検出できるが、各Tx/Rx交点の走査が増える。必要な同時押しの組み合わせを、コントローラ、走査周期、ファームウェア、ホスト受理ロジックまで含めて確認する。
8本の専用自己容量チャネルを持つ構成もUIとしてはキーパッドになり得る。逆に、8個の独立指令を1個の8チャネルICで読む構成は、システム上は個別スイッチのままでよい。操作グループ図と電気トポロジ図を別々に作る。
4. 静電容量タッチキーパッドが有利な条件
キーパッドが有利になるのは、独立性より協調による価値が大きい場合だ。入力密度、共通動作、一つの意匠面という3点が主な理由になる。
4.1 関連する多数の操作を一面にまとめる
数値入力、レシピ選択、メニュー、装置設定は一つの操作領域に複数キーを置く。専用チャネルまたはTx/Rx共有線で走査し、キーIDをホストへ送ればホスト端子を減らせる。ただし閾値、キー状態時間、エラー報告を誰が持つか明文化する。
多キーのマトリクス化では、端子数だけで決めない。「2キーを同時に認識する必要があるか」が先に来る。必要なら相互容量方式の対応範囲、走査時間、ファームウェア、受理ロジックを実機で示す。
4.2 意匠とフィードバックを一つのHMIにする
複数の静電容量ボタンは、グラフィック、バックライト、デッドフロント、表示窓、応答方針を共有できる。有効な選択肢だけを点灯し、無効な操作を示し、操作順を案内できるが、これらは印刷カバー単体の機能ではない。
タッチコントローラ直結LEDは、センサが閾値を越えたことを示せる。しかし吐出、動作、アクセス指令をホストが受理した証拠とは限らない。結果が重要な操作では、機械状態から応答を返すか、検出と受理の違いを表示する。
4.3 スライダ、ホイール、近接、ジェスチャを統合する
TI、Microchip、Infineonの各プラットフォームには、ボタン、スライダ、ホイール、タッチパッド、近接センサを組み合わせられるものがある。共通面なら座標系、走査、ウェイク、表示を揃えやすい。
ただしスライダは複数電極や交点を消費し、近接は大型電極、ガード、別の走査設定を要する場合がある。ジェスチャには時間ロジックも必要だ。後から一機能を加えるだけでも、チャネル、走査時間、GND、意匠、回帰試験が変わるため、初回の資源表に含める。
4.4 キーパッドにまとめない方がよい場合
操作が別々のドアや交換モジュールにあり、個別ハード配線、異なるカバー積層、故障分離が必要なら、静電容量方式という理由だけで一面化しない。共有コントローラ、バス、パネルの再起動中にも一操作を残す必要がある場合も、個別ノードまたはハイブリッドが明確である。
5. 個別静電容量タッチスイッチが有利な条件
ローカルな単純さ、分散配置、独立性を優先するなら個別スイッチが有利になる。対象機能の近くに置く単目的指令に向く。
5.1 分散操作を無理に中央へ集めない
ハンドル付近のウェイク、収納部内の照明、ドア裏の保守入力を一つのキーパッドへ集めると、センサ配線やテールが長くなり、コネクタと経路が複雑になる。短い配線とローカルコントローラなら、各場所の検出環境を切り分けやすい。
接地金属ベゼルの横にある2 mm樹脂越しのスイッチと、樹脂ドア上の4 mmガラス越しのスイッチは同じ挙動にならない。個別ノードなら電極、閾値、ガードを各積層に合わせられる。
5.2 既存PLC/MCUへディスクリート出力する
既存装置がシリアルキーコードではなく接点相当の論理状態を必要とする場合、単/少数チャネルコントローラからデジタルまたはオープンドレイン出力を渡せる。MTCH1010/1030/1060は1、3、6センサの実装例だが、アクティブ極性、タイムアウト、起動、押し続け、故障応答は別途定義する。
ローカル基板、電源、ケーブル、設定派生が増え過ぎれば利点は消える。その段階では中央キーパッドまたは分散シリアルノードの方が製造・診断しやすい。
5.3 保守と改訂を局所化する
交換可能なサブアセンブリに一つのスイッチを持たせれば、意匠や機構変更でパネル全体を再評価せずに済む場合がある。重要操作だけ別図面と承認プロセスに分けることもできる。
ただし同一品番を異なるベゼル、ケーブル長、GND、オーバーレイで使うと、信号マージンの異なる隠れた派生が生じる。各実装状態に管理された積層、設定、受入試験が必要だ。
5.4 個別化しない方がよい場合
オペレータには一つのキーパッドに見え、ホストがキーIDやシーケンスを必要とし、全キーの照明と診断を連動させるなら、孤立スイッチの集合は不利だ。コネクタ端子とハーネスが増え、意匠位置合わせとフィードバックが分散する。操作が一つのタスクなら、技術文書でも一つのHMIとして扱う。
6. タッチキーパッドの配置とチャネル計画を同時に作る
円と凡例が図面に収まっても配置設計は終わらない。電極径、ピッチ、カバー/接着層厚、GNDクリアランス、配線、同時押し、コントローラ資源、意匠、指/手袋条件を回路リリース前に収束させる。
6.1 メーカー寸法は開始点、合否は実積層で決める
TIは自己容量ボタンの一般的な開始寸法を約10~12 mm、相互容量ボタンを約10 mm以下としている。Microchip AN2934は8 mmの指先モデルを使い、1 mmオーバーレイで電極径10 mm、3 mmで14 mm、6 mmで20 mmという例を示す。個別ボタン間隔はおおむね「4 mm+カバー厚」、一般表では最小3 mm、代表値6 mmである。
これらはレイアウト開始値であり、量産合格値ではない。インク、接着層、空隙、手袋、金属ベゼル、表示ノイズ、LED配線、FPCテール、筐体圧力で結果は変わる。またセンサ対GND/非動作隣接電極の間隔と、相互容量ボタン内部のTx/Rx形状は別の規則である。
6.2 検出資源と応答資源をすべて割り当てる
| 表示/非表示機能 | UI数量 | 検出資源の候補 | 追加予約 | 合否質問 |
|---|---|---|---|---|
| 二値キー | 12 | 自己容量12チャネル、またはTx/Rx交点 | LED出力、ホストキーマップ | 隣接または対角キーを同時に使うか |
| リニアスライダ | 1 | コントローラに応じた複数電極/チャネル | 位置フィルタ、目盛 | 有効ストロークと位置挙動は何か |
| 近接ウェイク | 1 | 専用または共有の大型電極 | 低消費タイミング、ガード、起動処理 | 実装状態でどの距離・接近条件を受理するか |
| ガード/シールド | 1以上 | コントローラ固有資源 | GND/駆動配線 | 液体対策、ノイズ対策、または両方か |
| 状態照明 | 12 | 検出チャネルなし | LED 12チャネルまたはドライバ | 検出とホスト受理のどちらを示すか |
| 予備/派生キー | 2 | 対応する予備チャネル/交点 | 意匠、コネクタ余裕 | 回路変更なしで将来凡例を有効化できるか |
12キー相互容量マトリクスでTx/Rx線を共有できても、資源ブロックやピン互換性が組み合わせを制限する場合がある。スライダや近接領域が整った割り当てを崩すこともある。コントローラ選定はこの表の後に行う。
6.3 5段階で凍結する
1. 操作タスクを凍結
キー、順序、同時押し、手袋、応答、保守境界
↓
2. 機械積層を凍結
カバー材/厚さ、インク、接着、ベゼル、表示、GND、筐体
↓
3. 検出方式を比較
専用自己容量、自己容量マトリクス、相互容量マトリクス、局所IC
↓
4. コントローラ/ホスト資源を割り当て
チャネル、Tx/Rx、ガード、ウィジェット、LED、インターフェース、電源状態、予備
↓
5. 実装状態で試作・検証
全キー、隣接、液体/手袋、ノイズ、起動、故障、応答、復帰
操作タスクが変わればチャネル表を開き直し、調整後に積層が変わればセンサ検証をやり直す。インクや接着剤の変更も、誘電厚、空隙、導電性、接触状態を変えるなら単なる外観変更ではない。
コントローラの参照ベンチマーク
Texas Instruments TIDM-1021は、12ボタンの静電容量キーパッド、各キーのLEDフィードバック、IEC 61000-4-6に基づく3 Vrmsの伝導RF評価条件を組み合わせたリファレンス設計である。チャネル、照明、EMCの検討範囲を考える参考にはなるが、普遍的な要求値でもJASPERの試験結果でもない。別のPCB、ケーブル、筐体、電源、GNDへ結果を移し替えない。
7. 検証範囲はボタン検出試験より広い
量産承認では、代表的な装置状態に組み込んだ入力面を試験する。単体電極クーポンで構造導通や初期信号を見ても、最終カバー、GND、表示器、電源、ケーブル、ホストタイミング、液体経路、応答ループは含まれない。
| 試験領域 | 代表条件 | 記録 | 重大な不具合 |
|---|---|---|---|
| 全キー識別 | 中央、端、キー間、隣接指、必要な対角/同時押し | 生値/ベースライン、報告キー、応答状態 | 未検出、隣接・ゴースト・固着、未対応組み合わせ |
| 手袋/個人差 | 指定手袋の乾燥、濡れ、汚染状態 | 検出マージン、受理/拒否 | 再現条件のない「手袋対応」 |
| 液体/清掃 | 指定液滴、膜、流れ、洗浄剤残留、拭取り、排液/復帰 | 誤入力、ロックアウト、復帰状態 | 表面シールを正しい検出やIP等級の証拠にする |
| 応答ループ | 受理、拒否、処理中、故障時のLED/表示/音/振動 | タッチ、ホスト判断、応答源 | ホスト拒否なのに閾値通過を成功表示 |
| 電源/起動 | ブラウンアウト、コールド/ウォーム起動、スリープ、ホスト不在、バス固着 | 出力、基準取得、最初の有効入力、復帰 | 意図しない動作、再起動中の重要操作喪失 |
| ESD | IEC 61000-4-2:2025に基づく点、レベル、装置状態、判定基準 | 放電、リセット、データ破損、復帰 | 部品単体を「ESD認証済み」と扱う |
| EFT/バースト | IEC 61000-4-4:2012に基づく電源/信号/制御ポートへの結合 | ポート、結合、レベル、状態、結果 | クーポンに存在しないハーネス/電源外乱で誤動作 |
| 伝導RF | IEC 61000-4-6:2023に基づくケーブル、周波数、レベル、変調、状態 | 掃引中の誤検出/未検出、復帰 | 参照基板結果を別構成へ転用 |
| 故障/保守 | 電極・LEDの開短絡、パネル切断、誤リビジョン、設定破損 | 診断、イベント、安全なホスト状態 | 共有故障で独立機能まで消失 |
| 変更回帰 | 承認品と変更後のカバー、接着、インク、電極、設定、筐体、表示、配線、FW | 版数、差分、再試験、承認 | 材料/意匠変更がタッチ再評価を迂回 |
IEC 61000-4-2:2025は人体などからの静電気放電に対する装置イミュニティ方法、IEC 61000-4-4:2012は電源・信号・制御・接地ポートへのEFT/バースト、IEC 61000-4-6:2023は主に150 kHz~80 MHzの伝導RFイミュニティ方法を扱う。いずれも包括的な製品承認ではない。適用製品規格がレベル、装置状態、性能判定基準を決める。
キーパッドでは共通カバー、GND、コントローラ、電源、バスにより相関した誤動作が起こり得る。個別スイッチでは場所ごとのケーブル、ベゼル、局所GNDで結果が変わる。検証計画はその故障領域に合わせる。品質・試験体制の確認では、承認図面と実際の検査・試験記録を対応させる。
8. 用途別の選択マトリクス
| 優先事項 | 第一候補 | リリース前の確認 |
|---|---|---|
| 一面の数値/メニュー入力 | キーパッド | ピッチ、同時押し、ホストマップ、応答、ロックアウト、全積層 |
| 樹脂面のウェイク/電源/照明1キー | 個別スイッチ | 起動、長押し、局所GND、カバー、機械応答 |
| 12キー+スライダ+近接ウェイク | キーパッド | 資源割り当て、走査予算、ガード、照明、回帰範囲 |
| 3枚の交換ドアに各1操作 | 個別スイッチ | 局所IC/出力、ケーブル、保守品、場所別調整 |
| 共通面+独立して残す重要指令 | ハイブリッド | 独立ノードかメカニカル/タクタイル方式か |
| マトリクスで対角2キー同時押し | 相互容量キーパッド候補 | 対応組み合わせ、走査時間、ゴースト除外、ホストルール |
| 厚手手袋または常時水膜 | 証拠を先に取得 | 実手袋/液体/カバー、信号マージン、誤入力方針、復帰 |
| 非常停止、目視なしの安全操作、強打 | 通常は平面静電容量以外 | リスク評価とガード付きメカニカル、タクタイル、圧電、ハイブリッド |
一つの操作対話を構成するならキーパッド、場所・モジュール・独立機能に属するなら個別スイッチを選ぶ。共有パネルの利便性を残しながら、重要指令をパネルやバス故障から分離するならハイブリッドが候補になる。
統合が故障境界を隠し、異なるカバーを一つの調整値へ押し込み、共有ICを単一故障点にするならキーパッドは推奨しない。逆に局所電子回路と配線の反復で事実上のキーパッドを複雑に再現するなら、個別化は推奨しない。
9. RFQ前に凍結する入力情報
有効なRFQは、機構、電気、ファームウェア、製造、品質の各担当が同じアーキテクチャを確認できる。キー円だけのDXFでは足りない。
| 入力カテゴリ | 最低限必要な情報 |
|---|---|
| 操作タスク | キー名、通常順序、長押し、リピート、同時押し、無効時、重要度 |
| キーパッド配置 | 有効面、キー中心/ピッチ、意匠境界、ベゼル、指/手袋、スライダ/近接領域 |
| 物理積層 | カバー材・厚さ、インク/コート、接着、空隙、回路基材、テール/コネクタ、金属/表示、筐体断面 |
| 電気構成 | 自己/相互容量候補、チャネル/Tx/Rx、ガード、LED、IC責任、電源、インターフェース、出力論理、予備 |
| フィードバック | LED/表示/音/ハプティクス、色/状態、検出とホスト受理の区別 |
| 環境 | 温湿度、指定手袋、液体/洗浄剤、汚染、UV/摩耗、GND、ノイズ源 |
| 検証 | 適用製品規格、IEC方法/版、レベル、ポート、装置状態、判定基準、サンプル、報告形式 |
| 変更管理 | 再調整、再提出、回帰試験を起動する材料・意匠・設定・FW項目 |
承認は、機能マップとチャネル表、電極形状、量産相当積層サンプル、組立状態での調整、全キー・手袋/液体・電源・EMC/ESD試験、ゴールデンサンプルと版数の凍結という順で進める。
JASPERは物理入力面、回路、グラフィック、組立境界を確認する候補の一つである。問い合わせでは「12キー静電容量パネル」だけでなく、入力マップとチャネル表を図面に添える。製造能力は、アーキテクチャと証拠要件を明確にした後で照合する。
技術資料
| 資料 | 本記事での用途 |
|---|---|
| Texas Instruments, CapTIvate Technology Guide | 自己/相互容量、電極寸法、オーバーレイ、間隔、配置境界 |
| Texas Instruments, TIDM-1021 | 12ボタン、個別LED、3 Vrms伝導RFの参照条件 |
| Microchip, AN2934 | ボタン定義、電極径、間隔、材料、液体条件 |
| Microchip, MTCH10XX documentation | 1、3、6センサの専用コントローラ例 |
| Infineon, AN85951 Rev. AH (2025) | CSD/CSXマトリクス、16ボタン/8 GPIO、対角入力と走査境界 |
| IEC 61000-4-2:2025 | 完成機器のESDイミュニティ試験方法 |
| IEC 61000-4-4:2012 | EFT/バースト試験方法とポート範囲 |
| IEC 61000-4-6:2023 | 主に150 kHz~80 MHzの伝導RF試験方法 |
リリース前に入力面全体をレビューする
カバー、意匠、有効面、表示器、電極、コントローラ、テール、使用環境、合否状態を一つの入力仕様として揃える。キーパッドか個別スイッチかの選択は、その資料からチャネル表と故障境界を引けるかどうかで確認する。
よくある質問
静電容量タッチキーパッドと静電容量タッチスイッチは別の検出方式ですか?
いいえ。タッチキーパッドは複数の静電容量ボタンを協調させた入力群、タッチスイッチは一つの二値タッチ入力です。検出原理は共通にできます。違いは配置、コントローラ資源、割り当て、フィードバック、ホストインターフェース、保守境界、検証範囲にあります。
キーパッドは個別スイッチよりコントローラのチャネル数を必ず減らせますか?
必ずしも減りません。専用自己容量電極なら1キーにつき1チャネルを使います。Tx/RxマトリクスはGPIOを減らせますが、実際の割り当てはコントローラ資源、同時入力、走査時間、ガード、スライダ、近接、LED、対応ピンで決まります。公開資料には16ボタンを8 GPIOで構成する例があります。
個別静電容量タッチスイッチがキーパッドより適するのはいつですか?
機能が孤立している、設置場所が離れている、単独交換する、またはローカル/ディスクリート出力が適する場合です。カバーやGND条件が操作ごとに異なる場合にも向きます。オペレータが一連の操作として認識するなら、通常はキーパッドの方が整理しやすくなります。
タッチキーパッドのキー寸法と間隔はどう決めますか?
選定したコントローラメーカーの電極指針を開始点とし、量産積層で検証します。TIの一般例では自己容量ボタンは約10~12 mmです。Microchipにもカバー厚に応じた電極径と間隔の例があります。指/手袋、カバー、接着、ベゼル、意匠、GND、隣接キー除外、筐体を含めて最終ピッチを決めます。
静電容量キーパッドで2キーを同時検出できますか?
必要な組み合わせを検出方式、コントローラ、走査スケジュール、ファームウェアが支える場合は可能です。自己容量マトリクスでは対角入力が曖昧になる場合があります。相互容量マトリクスは同時キーを分離できますが走査量が増えます。リリース対象の全組み合わせを実装状態で検証します。
静電容量ボタンは手袋や水があっても使えますか?
条件を限定すれば使用できますが、「手袋対応」「防水タッチ」は他構成へ移せる仕様ではありません。手袋と液体を具体的に指定し、実カバー、接着、電極、GND、コントローラ設定、筐体、復帰状態で試験します。表面シール、液体中の正しい検出、筐体IP等級は別の主張です。
各キーに専用LEDまたはフィードバック信号が必要ですか?
必須ではありません。専用LEDはキー位置と検出を示しやすく、表示器、音、ハプティクスで共通応答する方法もあります。要求仕様では、応答がタッチ閾値通過とホスト受理のどちらを示すか定義します。結果が重要な指令では機械状態からの応答が有効です。
構成選定のためにOEMが提示すべき情報は何ですか?
機能マップ、操作数と位置、同時押しルール、キーパッド配置、物理積層、手袋/液体、応答状態、コントローラとホスト制約、電源状態、GND/表示/ケーブル、適用EMC/ESD要求、保守境界、変更管理を提示します。これらが構成とチャネル計画を決めます。
図面と要求仕様の技術レビュー
図面、使用環境、年間数量をお送りください。製造前に構造と検証条件を確認します。