表面シート材のPET・PC比較を、屈曲疲労、透明性、成形、耐薬品、UV、ハードコートの条件別に整理。牌号・厚さ・試験条件を固定し、完成品で評価する手順を示します。

表面シート材のPET・PC比較は、樹脂名だけで勝敗を決める話ではない。高頻度で押下するキーや、洗浄剤が未確定の操作パネルなら、屈曲評価値を持つハードコートPETから試作する。深い立体成形、厚い加飾部品、低ヘイズの透明窓が優先なら、用途に合うハードコートPCが有力になる。屋外、耐薬品、難燃、IP性能はどちらの材料にも自動では付かない。牌号、厚さ、仕上げ、印刷、粘着剤まで固定した完成構成で評価する必要がある。
最終更新: 2026-07-31
1. 結論早見表:PETとPCのどちらから試作するか
繰り返し屈曲が支配的ならPET、深い成形、厚い自立フィルム、低ヘイズの光沢窓が支配的ならPCを最初の候補にする。ただし、ここでいう「候補」は量産指定ではない。ハードコートは耐摩耗性と耐薬品性を変え、耐候層は屋外での挙動を変えるためである。
| 設計条件 | PETから試作 | PCから試作 | 樹脂名だけでは決めない |
|---|---|---|---|
| エンボスキー部の繰り返し屈曲 | ✓ | ||
| 深い3D成形、HPF、FIM | ✓ | ||
| 同一メーカー光沢牌号で最小ヘイズ | ✓ | ||
| スタイラス、手袋、清掃による摩耗 | ✓ ハードコートを比較 | ||
| 強い洗浄剤が想定されるが種類未確定 | ✓ | ||
| 常設屋外または海洋環境 | ✓ 耐候牌号を指定 | ||
| 厚い加飾・構造用フィルム | ✓ | ||
| 難燃または筐体の防じん・防水要求 | ✓ 牌号と完成品を確認 |
同一メーカーの資料で境界を見ると分かりやすい。MacDermid Alpha Autoflex EBは、メーカー独自法によるスイッチ押下結果を持つハードコートPETファミリーである[S1]。Autoflex PCは、同社PET光沢品より低いヘイズと、より厚い公称厚さを持つPCファミリーである[S2]。この差は各牌号のデータであり、PETまたはPC全体の性質ではない。カスタムグラフィックオーバーレイを設計する際は、メーカー、牌号、厚さ、仕上げ、ハードコート、印刷系、粘着剤を一つの構成として固定してからサンプルを比較する。
2. グラフィックオーバーレイの材料選定で比較するもの
グラフィックオーバーレイ(表面シート)は、単体フィルムではなく積層構成で機能する。使用者が触れるのは仕上げ面またはハードコートであり、表示窓はその表面層、基材、裏面印刷を通して見える。さらに粘着層が、シートを筐体やメンブレンスイッチに結合する。
使用者 / 清掃布 / 日射
↓
[1] 表面ハードコート、光沢、防眩、シボ
[2] PETまたはPC基材:メーカー、牌号、厚さを指定
[3] 裏面の文字・色・デッドフロント印刷・透明窓
[4] 感圧粘着剤またはスペーサーパターン
[5] 筐体、表示器、完成メンブレンスイッチ
「PET対PC」の説明が資料ごとに食い違うのは、比較している積層構成が違うためである。Mylar Aは汎用PET基材[S9]、Autoflex EBはUV硬化ハードコートと印刷面プライマーを持つPET[S1]、Autoflex PCは同様に構成が定義されたPC[S2]である。CovestroのMakrofolセレクターも、標準PC、UV安定化PC、耐傷付きPC、光学グレード、光制御グレード、ブレンド、難燃グレードを分けている[S6]。これらを単に「PC」とまとめると、選定に必要な差が消える。
図面で固定する6項目
- メーカーと牌号:
ハードコートPETだけでは不足する。例えばMacDermid Alpha Autoflex EBG183なら、ファミリー、光沢面、180 µm、プライマー仕様まで識別できる。 - 公称厚さと許容差:厚さは剛性、成形、光路、キー感触、疲労結果を変える。LEXAN 8010の2021年資料は、0.25 mmでMIT二重折り130回、0.50 mmで35回とする[S23]。これは材料折り曲げの値で、スイッチ押下寿命ではない。
- 表面構成:光沢、防眩、シボ、ハードコート、部分シボ、透明窓処理を記す。
- 印刷構成:裏面プライマー、インク系、硬化条件、色層、デッドフロント層、窓用インクを固定する。
- 粘着剤と貼付面:粘着剤、筐体材、表面粗さ、曲率、切断端、通気部、シール形状を指定する。
- 受入試験:薬品、摩耗、光学、耐候、接着、押下の判定条件を図面改訂と結び付ける。
フィルム単体に筐体のIP等級は付かない。IEC 60529が分類するのは筐体による保護であり、浸水経路は粘着剤の被覆、継ぎ目、通気部、切り欠き、筐体平面度、貼付圧で変わる。耐久性も同じで、フィルム単体値は候補選別に使い、印刷・成形・貼付後の完成構成で決定する。

3. 表面シート材のPET・PC比較:牌号別データ
比較条件をそろえるため、同じメーカーのMacDermid Alpha Autoflex EB PETとAutoflex PCを並べる。どちらも光沢・防眩仕様があり、いくつかの測定法を共有するため、メーカーの異なる資料を並べるより差を読みやすい。ただし、試験条件が完全に同一とは限らない[S1][S2]。
| 公開項目 | Autoflex EB ハードコートPET | Autoflex PC ハードコートPC |
|---|---|---|
| TDS改訂 | CPI-00025/12、2023-01-09 | CPI-00022/10、2022-12-23 |
| 構成 | PET+エンボス・シボ加工対応UV硬化表面 | PC+化学結合UV硬化表面 |
| 仕上げ | 光沢、防眩 | 光沢、防眩 |
| 公称厚さ | 130、180、250 µm | 180、250、380、480 µm |
| 光沢面ヘイズ、ASTM D1003 | 2%未満 | 0.3%未満 |
| 防眩面ヘイズ、ASTM D1003 | 130/180 µmで9.8% ±3%、250 µmで10.8% ±3% | 10.8% ±3% |
| 全光線透過率、ASTM D1003 | 91% ±2% | 92% ±2% |
| 60°光沢度 / 防眩面 | 96 ±2 GU / 50 ±5 GU | 93 ±2 GU / 50 ±5 GU |
| 鉛筆硬度、メーカーMethod 058 | 2~3H | HB |
| 光沢面Taber結果、メーカーMethod 103 | 5%未満。詳細条件はTDS非公開 | 5%未満。詳細条件はTDS非公開 |
| スイッチ押下 | メーカーMethod 003で500万回超 | 引用TDSに記載なし |
| 破断時引張強さ、ASTM D882 | 172 N/mm²、基材資料値 | 60 N/mm²以上、基材資料値 |
| メーカー使用温度指針 | 最低−40°C、相対湿度10%未満で85°C、相対湿度10~95%で60°C | 最低−40°C、相対湿度10%未満で85°C、相対湿度10~95%で60°C |
表中はメーカーが試験室製フィルムについて示す代表値または指針である。JASPERの試験結果、購入許容差、印刷済み表面シートの保証値ではない。
判断を誤りやすい点は三つある。
- ヘイズと透過率は別の指標である。ASTM D1003-21は両方を扱う。光が多く通っても散乱が大きければ表示はぼやける。今回の光沢牌号ではPCのヘイズが低いが、防眩仕様は意図的にヘイズを高くしている。
- 鉛筆硬度は塗膜の相対評価である。ASTM D3363-22は、鉛筆のメーカーやロット、下地が結果に影響するとする。2~3HとHBの差はこの製品群内ではPET側の表面が硬いことを示すが、清掃回数の寿命を予測しない。
Taber 5%未満だけでは摩耗仕様にならない。ASTM D1044-24では、摩耗輪、荷重、回数、調整、硬化状態、ヘイズ測定条件が必要である。詳細がなければ、両牌号の実使用摩耗が同じとは結論できない。
この組み合わせでは、透明窓の初期候補はPC、公開された屈曲値と塗膜硬度の初期候補はPETとなる。それ以外は使用条件をそろえた評価で決める。
4. PETを最初の試作候補にする条件
繰り返し屈曲、洗浄剤、表面傷が主要な未確定要因なら、ハードコートPETを先に試す。ただし、すべてのPETがPCより優れるという意味ではない。
4.1 高頻度のキー押下には屈曲評価済みPETを使う
MacDermid AlphaはAutoflex EBについて、独自Method 003で500万回超の押下結果を示している。同じ数値は耐候・シボ付きPETのAutotex XEにも記載される[S1][S3]。ここから言えるのは、名称を特定できるPET表面シートに公開された選別データがあることまでである。完成キーの寿命や試験治具の全条件までは示さない。
ASTM F1578-24は、メンブレンスイッチを所定回数押下・解放する試験を扱う。案件ごとにフィルム厚さ、エンボス形状、スペーサー開口、押子径と硬度、ストロークまたは荷重、速度、温度、必要なら電気負荷、故障定義を固定する。インク割れ、ハードコートのクレージング、操作力の変化、接点不良は別の終点であり、一つのフィルム値で代用できない。
4.2 洗浄剤が未確定ならPETを保守的な起点にする
Autoflex資料では、EBの耐薬品性を excellent、PCハードコートを good と表現しているが、形容詞は洗浄剤マトリクスの代わりにならない。Tekra Marnot Advanced LIの熱安定化PETでは、製造時のハードコート面が23°Cで1時間・4時間接触したアセトン、MEK、IPA、トルエン、ブレーキ液などに合格したとされる。別表では、洗浄剤、20%漂白剤、SPF 70+の日焼け止め、25% DEETについて、23°Cと50°Cの24時間結果が示される[S21]。
この合格は、Tekraの該当表面と記載条件に限定される。裏面印刷、粘着剤、抜き端、窓処理、応力がかかったエンボスは保証しない。ASTM D543-21に合わせ、薬品、濃度、接触方法、時間、温度、ひずみ、評価項目を実用途に近づける。
4.3 PET側の高い塗膜硬度は外観リスクを下げやすい
Autoflexの組み合わせでは、PETがメーカーMethod 058で2~3H、PCがHBである[S1][S2]。他条件が同じなら、スタイラス、砂粒を含む手袋、頻繁な清掃を受ける用途でPETを先に確認する理由になる。量産承認では同一の摩耗条件を使い、窓はヘイズ変化、印刷部は傷、光沢、色、可読性を判定する。
PETを優先しない条件:深い3D形状、選定PETファミリー外の厚さ、大面積光沢窓で最小ヘイズが必要な場合はPCを先に検討する。ハードコートPCが、未処理または用途不適合のPETより耐摩耗・耐薬品で優れることもある。
5. PCを最初の試作候補にする条件
成形形状または表示窓が設計を支配する場合、PCが有力になる。必要なのは単なるPCではなく、成形用または光学用として特定された牌号である。
5.1 深い成形と厚い加飾部には牌号指定のPCを使う
Covestro Makrofol DE 1-4は、75~750 µmの光沢/極細マットPCで、HPFとFIMへの適用が示される。同じ製品群のDE 1-1は125~1,000 µm、DE 6-2は50~750 µmである[S5]。MacDermidの比較対象ではAutoflex EB PETが250 µmまで、Autoflex PCが480 µmまでとなる[S1][S2]。
SABIC LEXAN 8B35Eも、0.125~0.500 mmのベルベット/極細マットPCで、熱成形、ハイドロフォーミング、エンボス、打ち抜き、曲げに対応する資料例である[S8]。これらは深い意匠や厚いフェイシアでPCを検討する根拠になるが、万能なエンボス深さは示さない。工具R、ハードコート、インク膜厚、フィルム厚さ、成形温度、復元を実サンプルで確認する。
5.2 光沢PCは低ヘイズの透明窓を作りやすい
Autoflexの光沢牌号では、ASTM D1003による全光線透過率とヘイズが、PCで92% ±2%・0.3%未満、PETで91% ±2%・2%未満である[S1][S2]。屈曲が少ない広い透明窓なら、このPCを先に試す合理性がある。
ただし仕上げが変われば結論も変わる。シボ付きLEXAN 8B35Eは、標準0.250 mm試験片で透過率86%、ヘイズ100%とされる[S8]。これは欠陥ではなく拡散を意図した表面である。窓仕様には、牌号、厚さ、表面、ハードコート、印刷層、表示器方式、視野角、摩耗・洗浄後の許容ヘイズと透過率を書く。
5.3 PCは材料単価ではなく工程適合性で選ぶ
PCの広い厚さ・仕上げ範囲により、別体レンズや二次成形を減らせる案件はある。ただし、これは設計レビューで確認する仮説であり、一律のコスト優位ではない。現時点でPETとPCを同条件で比較した監査可能な見積りはない。完成費用には基材、ハードコート、印刷、成形、打ち抜き、粘着剤、歩留まり、検査、組立が含まれる。
PCを優先しない条件:高頻度で屈曲するエンボスキー、種類未確定の消毒剤・溶剤、標準屋内牌号を使う常設屋外ではPCを既定値にしない。屈曲評価済みPET、または耐候・耐薬品牌号を含めて完成サンプルを比較する。
6. 屋外、薬品、ハードコートは牌号別に判断する
屋外曝露と薬品清掃は、樹脂の問題より先に牌号の問題である。耐候PETもUV保護PCも存在し、ハードコートPCが強い薬品接触に合格する例もある。反対に、光を多く通すシボ付きPETでも表示窓にはヘイズが高すぎる場合がある。
| 構成 | 公開条件 | 根拠が示す範囲 | 示さない範囲 |
|---|---|---|---|
| Tekra ProTek Weatherable Clear HS PET、7/10 mil(約178/254 µm) | SAE J2527キセノンアーク。ΔYI 0.5/1,000 h、1.1/2,000 h、ヘイズ1%未満、透過率91% | 透明ハードコート耐候PETの選択肢がある[S18] | 屋外年数への換算、完成品保証 |
| Covestro Makrofol SR906 PC、175/250/375/500/635 µm | UV保護アクリル機能層。DIN ISO 4892の1,000 h後YI 1.1、透過率89%以上、ヘイズ0.5%以下 | UV保護された透明成形用PCがある[S7] | 標準PCや貼付完成品の性能 |
| Tekra Marnot XL Matte PC、7~30 mil(約178~762 µm) | UV硬化後試験片。20%漂白剤は23°C/50°Cで24 h合格、マスタードは50°C・24 hで着色 | ハードコートPCでも薬品と温度で結果が変わる[S20] | 万能な洗浄剤リスト、印刷・端面・粘着剤の性能 |
| MacDermid Autotex XE PET、Fine/Velvet | ASTM D1003で透過率92% ±2%、ヘイズ58% ±5% / 71% ±5% | シボ付き耐候PETは透過しながら強く拡散する[S3] | 透明表示窓への適合 |
PETとPCの耐候値は、試験規格と構成が違うため相互順位に使えない。ASTM G154-23も、蛍光UV装置の運転だけでは性能要求にならないとしている。ランプ、放射照度、UV/湿潤サイクル、温度、時間、対照試験片、曝露前後の測定項目を報告する。試験槽の時間を屋外年数へ直接換算してはならない。
海洋・屋外機器では、この境界がさらに重要になる。日本語サイトの用途一覧で対象環境を整理し、実際の塩分・洗浄接触、乾湿サイクル、端部・切り欠き、粘着剥離またはシール、曝露後の光学・表示を評価する。ASTM G154は塩水、汚染、生物作用を再現しない。IPコードが必要なら、フィルムではなく完成筐体をIEC 60529の該当条件で試験する。
ハードコートの保護範囲にも限界がある。Tekraの技術資料は、表面コーティングが露出した切断端を保護しないと説明する[S24]。窓端、穴、エンボスR、印刷境界、粘着界面を薬品試験片に含める。
難燃性も同じである。Covestroのセレクターに特定の難燃PCと厚さ別UL 94結果があっても、一般的なPCや印刷・粘着済み表面シートが難燃認定されるわけではない[S6]。必要な範囲と一致する牌号、色、厚さ、印刷、完成構成の証拠を確認する。
7. 用途別意思決定マトリクス
次表は最初の試作候補を決めるためのもので、量産承認表ではない。どの行も、メーカーと牌号を固定した完成構成を同じ条件で評価することを前提とする。
| 支配的な要求 | 最初の候補 | 理由 | 見直す条件 |
|---|---|---|---|
| 高頻度押下のエンボスメンブレンキー | 屈曲評価済みハードコートPET | 名称を特定できるPETにメーカー押下データがある | 窓、成形、耐候、難燃の根拠が不足 |
| 深い3D、HPF、FIM、厚い加飾部 | 成形用ハードコートPC | 牌号別PCに工程適合と厚い範囲がある | 実Rと引き深さでハードコート・インクが未承認 |
| 屈曲の少ない大面積透明窓 | 低ヘイズ光沢PC | 同一メーカー比較でPCのヘイズが低い | 洗浄、摩耗、偏光、反射、衝撃で不合格 |
| 洗浄剤確定前の反復清掃 | ハードコートPETを保守的起点 | 条件付き薬品データを持つPET例がある | 選定PCが最終薬品条件に合格し、光学・成形で有利 |
| スタイラス、砂付き手袋、摩耗清掃 | ハードコートの試験結果で選ぶ | 接触面では塗膜、硬化、仕上げの影響が大きい | 摩耗輪、荷重、回数、ヘイズ条件が不一致 |
| 常設屋外の透明窓 | 耐候PETとUV保護PCを同時試作 | 両材料に耐候牌号がある | サイクル、色・ヘイズ、印刷、粘着、端面、結露の記録不足 |
| 屋外のシボ付き高頻度キー | 耐候・屈曲評価済みPETを先行 | 牌号例がシボ、耐候用途、押下評価を組み合わせる | 窓または成形要求を満たせない |
| 難燃分類 | 牌号、色、厚さが一致する材料 | 難燃は樹脂名の一般特性ではない | 証拠が基材のみで、必要な部品・完成品範囲と不一致 |
| 海洋機器の防じん・防水 | シール済みHMI完成品 | IEC 60529は筐体保護を対象とする | フィルム単体にIPコードを割り当てている |
| 屈曲しない高耐傷の硬質窓 | 別体レンズ構成も検討 | 窓とキー機能を分けると妥協を減らせる | 界面、シール、厚さ、重量、組立が許容できない |
表面シート材のPET・PC比較で、PETを既定値にできるのは屈曲または未確定薬品が主リスクのとき、PCを既定値にできるのは牌号固有の成形性または光学性が主リスクのときである。耐候、難燃、IP、激しい摩耗が主要求なら、答えは一般的なPETかPCではなく、同じ案件試験に合格した完成構成になる。
8. 完成構成の評価マトリクスと入力チェックリスト
材料選定は、印刷、成形、打ち抜き、粘着加工を行った代表サンプルが、文書化された試験に合格して完了する。品質・試験計画には、フィルムロット、インクと硬化記録、粘着剤ロット、図面改訂、前処理、装置設定、生データ、故障写真を残す。
完成構成の試験マトリクス
| 閉じるべきリスク | 基準法 | 必ず記録する条件 | 報告値 |
|---|---|---|---|
| 表示窓のヘイズと可読性 | ASTM D1003 | 牌号、厚さ、仕上げ、ハードコート、窓印刷、前処理、装置・手順、観察方向 | 初期・曝露後のヘイズ/透過率、外観欠陥 |
| 表面摩耗 | ASTM D1044 | 裏当て、摩耗輪、荷重、回数、摩耗輪再研磨、前処理、ヘイズ計条件 | 摩耗部のΔヘイズ、傷、光沢、色、可読性 |
| 洗浄剤、消毒剤、油、日焼け止め、防虫剤、塩分 | ASTM D543の浸漬・湿式接触・拭取り・応力下曝露。必要に応じISO 2812-4 | 製品名、有効成分、濃度、布・パッド、量、時間、回数、温度、ひずみ、回復時間 | 膨潤、着色、割れ、ヘイズ/色/光沢、インク密着、端部浮き、層間剥離 |
| 日射、熱、結露 | ASTM G154または妥当なキセノンアーク法 | ランプ/フィルター、放射照度、UV/湿潤サイクル、温度、時間、対照、反復数 | 黄変度または色差、ヘイズ、光沢、割れ、脆化、インク・粘着状態 |
| エンボスとスイッチ疲労 | ASTM F1578を基準にした完成品サイクル | フィルム・スペーサー厚さ、エンボス/R、押子形状/硬度、荷重またはストローク、速度、温度、電気負荷、目標回数 | 導通、操作力-変位の変化、フィルム/インク/塗膜割れ、キー形状 |
| 温湿度 | 装置プロファイルとメーカー制限 | 高低温、保持、ランプ、湿度、通電状態、サイクル数 | 寸法変化、ブロッキング、接着、光学、割れ、操作・電気機能 |
| 端部シールと筐体IP | 該当するIEC 60529完成品試験 | 完成筐体、粘着パターン、通気、切り欠き、テール、貼付圧、前処理 | 筐体合否、漏れ経路、試験後機能 |
表は普遍的な合格値を与えない。OEM図面側で、表示可読性、外観、操作感、シール、製品安全に対応する合否限界を定める。
図面・サンプル承認前に共有する情報
- フィルムメーカー、牌号、厚さ、仕上げ、ハードコート、印刷面プライマー
- アートワーク改訂、色見本、隠ぺい度、デッドフロント層、表面処理
- 表示器方式、窓寸法、視野角、偏光条件、初期ヘイズ・透過率限界
- キー形状、R、スペーサー開口、荷重/ストローク、押子、目標回数
- 洗浄剤、消毒剤、潤滑剤、油、日焼け止め、防虫剤、塩分の製品名またはSDS
- 濃度、塗布法、接触時間、拭取り材、頻度、温度、フィルム応力
- 指、手袋材、スタイラス、砂、工具、摺動部品などの摩耗接触
- 屋外位置、方位、日射/結露、気候、塩水、保守点検条件
- 筐体材、シボ、曲率、表面処理、通気、切り欠き、テール出口、端距離
- 粘着剤牌号、被覆パターン、ガスケット/スペーサー、貼付圧、組立温度、養生
- 必要文書と規格範囲。樹脂名だけで満たすと仮定しない
- 試作数、試験順序、故障定義、対照品、署名済み限度見本
次の作業は、フィルム名を先に決めることではない。洗浄、摩耗、屋外条件を先に共有する。実際の洗浄剤名と濃度、拭取り頻度、接触工具または手袋、キー回数、窓要求、屋外・海洋曝露を入力する。JASPERは候補の一社として構成検討に参加できるが、採用材料は合意した試験に合格した構成で決める。
洗浄・摩耗・屋外条件を決めてからフィルムを選ぶ
アートワーク、完成形状、屈曲部、窓、成形深さ、洗浄剤、UV曝露、筐体、粘着剤、合否基準を問い合わせフォームで共有する。JASPERの技術担当は、適合候補となるPETとPCの構成を比較できる。
技術検討を続ける
日本語ブログで関連する材料・試験記事を確認できる。公開前の製品仕様は、必ず案件図面と評価結果を優先する。
よくある質問
グラフィックオーバーレイにはPETとPCのどちらが適していますか?
一律の優劣はありません。繰り返し屈曲または未確定の強い洗浄剤が主リスクならハードコートPET、深い成形、厚いフィルム、低ヘイズの光沢窓が主要求なら適合牌号のPCから試作します。屋外、難燃、摩耗、IPは牌号または完成品ごとの証拠が必要です。
ボタンを繰り返し押す用途では、どちらが長持ちしますか?
最初の候補は屈曲評価済みPETです。MacDermid Alphaは特定のハードコートPETについて独自法で500万回超を示しますが、引用したAutoflex PC資料には押下寿命の記載がありません。寿命表示を決める前に、印刷・エンボス・貼付済みスイッチをASTM F1578相当条件で評価します。
ハードコートPCは消毒剤や溶剤に耐えられますか?
適合する牌号はあります。ただし、薬品名、濃度、接触方法、時間、拭取り回数、温度、ひずみ、故障基準を固定しなければ判断できません。未印刷の平板試験片の合格は、インク、粘着剤、切断端、窓、応力のかかったエンボスまで保証しません。
表示窓を最も鮮明にしやすい材料はどちらですか?
今回のMacDermid Alpha光沢牌号比較ではPCです。ASTM D1003によるヘイズはPCが0.3%未満、PETが2%未満です。ただし、これは全樹脂に通用する規則ではありません。シボ、防眩層、厚さ、印刷、摩耗、表示器の偏光によって完成窓の見え方は変わります。
PCのグラフィックオーバーレイは屋外で使えますか?
適切なUV保護を持つ牌号が案件の耐候試験に合格すれば使用できます。Covestro Makrofol SR906は、アクリル機能層を持つUV保護PCの公開例です。この証拠を標準屋内PCへ広げたり、促進試験時間を屋外使用年数へ直接換算したりはできません。
ハードコートを付ければPETとPCは同等になりますか?
同等にはなりません。ハードコートは傷、摩耗、反射、薬品接触を改善できますが、基材は屈曲、成形、厚さ範囲、応力応答に影響します。コーティングはすべての切断端を保護せず、裏面インクや粘着剤も自動では適合しないため、完成サンプルが必要です。
ポリエステル操作パネルの厚さは何µmが適切ですか?
普遍的な厚さはありません。あるハードコートPETファミリーは130、180、250 µmですが、別のシボ付きファミリーは異なる範囲です。キー感触、エンボス、窓光学、成形、印刷位置、筐体支持、疲労試験を決め、メーカーと加工者を含めて厚さを選定します。
表面シート材を選ぶ前にOEMが提示すべき情報は何ですか?
フィルムと図面仕様、洗浄剤名と濃度、拭取り方法と頻度、摩耗接触、キー形状と目標回数、表示窓限界、屋外・海洋条件、筐体表面、粘着・シール形状、必要文書、試験順序、故障定義、限度見本の承認条件を提示します。
図面と要求仕様の技術レビュー
図面、使用環境、年間数量をお送りください。製造前に構造と検証条件を確認します。